西 寛政七卯年
(朱書)
「諸作虫付候ハゝ虫防之仕法御触」
当年諸国とも田畑諸作一統出来方宜無難之年柄ニ相
聞候処、場所ニ寄少〻宛虫付候処有之候由、尤虫防
之義格別世話いたし候村方ニては追〻薄らぎ候様相
聞候間、さまても無之場所ニても無油断防方之儀可
被申渡候、勿論其土地ニ寄品〻取計方も可有之候得
共、夜分畔ニて火を焚或は毒荏をなかし、又は虫付
之田方江は鯨之油ヲ取壱セニ二三滴程ツゝ打そゝき、
鯨之油無之土地は暁天ニ風上ゟ石灰を振懸ケ、根虫
ニ候ハゝ用水口ゟ石灰を流シ候得は虫さり候由、尤
石灰ニて翌年土地しまり候様存候ハゝ、冬ゟ竹の葉
を入置春ニ至切返候得は地之しまり無之由ニ候間、
右之趣兼て村方之もの江申教置候様可被致候、右虫
防仕方之儀去ル申年一統申渡置候間、承知之儀ニハ
可有之候得共、猶又為心得申達置候間、不洩様村〻
江可被申含候
卯七月
右之通御書付を以被仰渡候間写遣し候条、若虫付有
之村〻ハ右之趣相心意取計、損毛無之様可致候、廻
状順達留村ゟ可相返候以上
卯七月 山上熊太郎役所