●文化二丑年
(朱書)
「武芸稽古仕間敷幷在方ニて、火消人足之身躰を
まね申間敷御触」
近年在方ニ浪人ものなとを留置、百姓とも武芸を学
ひ又は百姓同士相集り稽古いたし候も相聞候、農業
妨候計ニも無之、身分わすれ気かさニ成行候基候得
ハ堅く相止可申候、勿論ゆへなくして武芸之師匠い
たし候ものなと、猥ニ村方江差置申間敷候
一百姓共之内江戸町方火消人足之身躰をまね、出火ニ
事よせ大勢ニて遺恨有之ものなと家作家財を打こわ
し、或は頭分と唱へ組合立喧嘩口論を好候者共有之
由甚以不埓之事ニ候、急度相慎惣て風義を宜しく可
致事
右之趣村役人共常〻申教へ、不作法もの無之様心を
附可申候、若背ものハ召連可訴出候
五月
右之通り御書付出候間堅く相守可申候、若於相背ニ
は急度懸吟味条得其意、此廻状村下可請印早〻順達
留り村ゟ可相返候以上
丑五月十五日 野口辰之助役所
武州埼玉郡
西方村
外村〻