●文化十酉年
(朱書)
「御代官吉岡様ゟ貯石増数御取調之上、心得方御
廻状」
一雑穀八石七斗 西方村
一同壱石五斗四升 中嶋村
一同三石壱斗六升 増森村
一同六石弐斗七升五合 増林村
一同壱石六斗四升 大吉村
一同八斗八升 大松村
一同弐石四斗 船渡村
一同壱石弐斗三升 大泊村
小以雑穀弐拾五石八斗弐升五合
天明之度村〻貯穀之儀被仰出、夫〻貯高ニ応し御下
穀も有之村〻出精致追〻囲高相増可申趣候処、寛政
以来凶年等之非常も有之連〻囲高相減、近年ニ至り
候てハ別て名目迄之様ニ成行如何之筋ニ付、猶又今
般取調候処一躰初年ゟ村〻囲高多分少有之一定不致、
貯高多キ村〻も近〻無謂格外ニ減少いたし、又は右
之内夫喰ニ貸渡し候分詰戻中、囲穀年延願出承届候
も有之候得共、年〻貯候分壱人別は纔〻之儀、其上
借受詰戻候は当日之夫喰ニ差支候困窮もの共のみニ
有之、其余高持共ハ詰戻も無之処、一村之囲穀年延
相願候は不都合之儀、既ニ天明之振合ニ囲穀仕来候
得は凶作之年柄を除候ても年来相立候事故、村〻非
常之手当相備御仁恵之御趣意可相立は眼前之処、永
久之儀を不推量次第ニ貯高減少いたし、夫喰等満足
いたし候程之儀ニ不至上は、支配役所幷村方一同被
仰渡ニ振候取計ニ相当、御尋等有之候てハ申上方も
無之恐入候筋ニ候、此所得と勘弁いたし是迄心取弛
ミ減少いたし候分は向後心底を改、前〻之通り囲高
相増先前より困窮等ニて聊ツゝ貯来候村〻は、以来
其村田畑共壱反ニ付籾麦稗之内弐合を目当ニ囲穀い
たし、是迄貸渡候分詰戻中も曾て囲方年延等不相願、
年〻貯石相増候様可取計候、尤石数相増積置候得は
鼠喰等之欠減相立、内実難儀之趣相聞候ニ付、自分
年限ニ取扱之窮民手当金之内其年遣払高有余見計、
籾麦等之内買上年〻村〻江可渡遣間、右を以欠減を
償残石之分ハ村〻貯穀同様囲置、非常之節其村〻囲
穀ニて不足之節貸渡候様可致条、重〻厚御恵之程忘
却不致勿論、右申達候石高ゟ余計相囲候は一段之儀、
高持又は身上相応之もの共ハ非常之備之為、極之外
壱人立多分相囲、乍聊出穀難儀之ものも有之候ハゝ
助合遣候、年〻囲高減少不致村一村知融之上取計、
いつれニも非常之節不及窮迫様兼て之心掛ケ肝要ニ
付、右申達候趣急度相守、不遠村〻囲高相増御仁恵
之程行届候様可致候、此廻状早〻順達、留り村ゟ可
相返もの也
酉十月 吉岡次郎右衛門印
右村〻
名 主
組 頭
百姓代
猶以貯穀之分村〻江預ケ置、又は欠痛等之分新穀百
姓代ニ引替、或は年〻囲高小前帳を以届之儀共先是
迄之通心得念入取計候様可致、追て囲高相増嵩ニ相
成、預り主共迷惑いたし候ハゝ、其節置場等之儀可
申達候以上