●文化十四丑年
(朱書)
「御代官吉岡様ゟ御廻米無等閑十二月限御蔵納可
致旨御廻状」
其村〻御廻米毎年十二月廿日後着船いたし、右之内
ニは米怔不宜、又ハ船中濡沢手色替ニて引取米出来、
納高相減買納相願年内御蔵納難相成、翌春ニ至り相
納候も有之、且常陸国河内真壁郡、下総国岡田豊田
郡、上野国新田郡村〻之内ニは去子御廻米当春着船
いたし、其上納不足相立買納相願漸三月ニ至り御蔵
納相済候様成行不埓至極ニ付、夫〻遂吟味急度とも
可申付処、格別之宥免を以其儘ニ差免候も有之候、
依之当冬御廻米ゟ道之遠近ニ寄早速着船いたし候様
取計、津出し等六ヶ敷船路里数多キ分も十二月十五
日限り江戸着船いたし、年内皆納いたし候様可取計
候、若申渡趣相背村役人小前一同等閑置延着いたし
候村〻於有之ニは、吟味伺之上急度可申付条可得其
意候、右之趣無違失急度可相守侯、此廻状村下名主
令請印早〻順達、留り村ゟ無遅滞可相返もの也
丑九月十三日 吉岡次郎右衛門印
猶以船路聊ニて直ニ着船可致分、是迄延着いたし候
も有之不束之至りニ付、右等之村〻は別て早廻しい
たし、遠路之村〻御廻米ニて一度ニ不落合手操宜敷
候様可取計候以上
文化十五改元有て
●文政元寅年
「灰吹銀潰銀幷銀箔売買取締御触」
一灰吹銀其外潰銀類銀座幷買之もの江売渡候上、下銀
入用之もの共銀座ニて買請、他所ニて売買致間敷先
達て相触候処、猥ニ売買致候もの有之趣相聞不届ニ
候、先達て相触候通り急度相守、銀座下買之外他所
ニて売買致間敷候、
一銀箔之儀銀座株札幷箔下かね相渡、京都ニおゐて職
ヨメズ
人共相□せ上江売出し、他国ニて紛敷下かねを以銀
箔打もの有之由相聞、右は京都箔方一切致間敷ハ右
之趣先年ゟ度〻相触候処近来猥ニ相成、銀箔隠打致
候趣相聞不届、以来急度相守灰吹銀其外潰銀銀座之
外堅く売買不致、銀箔之儀は京都定職人之外他所ニ
て打立儀一切致間敷候、右ニ付天明度江戸本両替町
京都ゟ之銀箔売場一ヶ所相建候処、寛政之度ゟ中絶
ニ付、此度江戸呉服町江銀箔売場再興之御達、右於
売場より之もの右売場江可相越買請、紛敷銀箔堅く
売買致間敷、心得違灰吹銀其外銀具潰銀之類銀座幷
下買之もの江不売渡、他所ニて売買致歟、又は箔隠
打等致候もの於有之は、吟味之上急度咎可申付者也
右之通り可被相触之候
二月
別紙之通御書付出候間得其意、廻状村下ニて請印早
〻順達留村ゟ可相返もの也
寅三月 吉次郎右衛門印
西方村
外村〻
文化十五改元有て