発刊によせて

 

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越谷市教育委員会教育長 斎藤宥雄

 物事にはすべて歴史があります。長い、短いの差はあっても、現在に至るまでにはさまざまな変遷が秘められているものです。

 わたしたちのまち越谷は、昭和三十三年に市制を施行してから、今年でちょうど二十五周年を迎えますが、古くからの歴史を秘めたまちでもありました。

 越谷市教育委員会では、市史の編さん事業のかたわら、郷土の歴史をわかりやすい物語ふうにまとめ「市史編さんだより」として広報こしがやに連載してきました。本書は、これらを一冊にまとめたもので、先に刊行した「越谷の歴史物語」第一集、第二集に続くものです。ここに収めた物語は、古代から現代までにわたり、それぞれ史料や記録に基づいて綿密に調査したものです。

 〝知ることは愛することのはじまり〟といいます。まず、自分の住むまちの歴史を知ることが、郷土を愛するこころへと発展していくものでしょう。歴史の探究は、たいへん地味で苦労の多いものかもしれませんが、先人の歩んできた道を明らかにしようとする努力は大切なことです。そこから学ぶことがたくさんあるはずです。

 この本が、越谷の歴史を探るうえで一つの参考書として、広く愛読されることを願ってやみません。

  昭和五十八年三月