昭和四十二年、第二二回の国民体育大会(ふつう国体と呼んでいます)は埼玉県が会場となりました。このときは九月十七日から川口市や戸田市を中心に水泳などの夏季競技が行われ、十月二十二日から上尾市の陸上競技場を中心に秋季競技が開かれました。
このときバドミントンの競技(きようぎ)会場は越谷市立体育館にあてられました。そこでそれまで砂利道であった越谷の主な道路は舗装され、選手を迎えるための環境づくりが進められました。それでこのとき舗装された道路を人びとは「国体道路」とも呼んでいました。また十月二十三日から六日間にわたって行われたバトミントン競技の期間中は、体育館に接した大沢小学校校舎の半ばを選手控室などに開放しましたので、この間児童の授業も二組に分けられ、一日おきの交替授業をするなどのやりくりが行われました。これを十月二十四日付の新聞でみますと、バトミントン会場の越谷市立体育館隣の越谷大沢小は、選手控室に校舎半分の十五教室を提供、校庭も半分は大会輸送部駐車場にとられた。こどものいる場所がないので、国体期間中の六日間は、上下級生別の二組に分けて隔日授業をし、不足分の授業は冬休みに補習授業をするそうだ。選手控えの黒板には、児童の手で〝御活躍を祈ります〟とあって、各県選手も児童たちの心づかいに思わずジーン。とあります。またこの競技の開会日にあたっては、天皇皇后両陛下がおいでになりましたが、これについては、新聞には、
浦和の知事公館で一夜を明かされた天皇・皇后両陛下は、二十三日午前十時四十分から越谷市立体育館のバドミントン会場で、一般男子、同女子の三試合をご覧になった。
とあります。なおこのとき天皇・皇后両陛下が腰掛られた椅子は、現在見田方遺跡公園内の民具収蔵室に保存されています。さてこの埼玉国体では、主催した県である埼玉県の選手が各種目で圧倒的な成績をおさめ、綜合成績では二位の東京を大きく引きはなして優勝しました。これには優勝を目ざした埼玉県が、数年前から国体の選手養成のため、たくさんの費用をつかって練習にはげんだからだともいわれています。
