て思を煩すへからす
順境とハ何事も心の侭にゆく随而ハ順流に
舟を任すか如きをいふ
逆境とハ何事も皆抵牾払戻[モトリ/サカ]して
水に泝(サカノホル)る舟の如く力を用ゆれ共其働無の
時節をいふ人の一代にハ未裏有未発の時ハ
順境也衰替(スイタイ)[おとろえ/かハる]の時は逆境也皆是時節
也を悟れは順境にて快適の時も放縦[しまりなく/ほしいまゝ]
の行ひなく人を凌き礼を犯す事なかるへし
又逆境の無節[たのまぬ/やすからぬ]の時と雖人を尤(トガ)めす
其を怨ることなかるへし□ハ寒を怨ミす
□【虫喰】ハ暑を怨ミず時節を知バ懸成にも思ニ
安んする也