子弟ハ業あらしむへし

一 人の子あるに貴賤貧富ニよらす必定る業あら

しむへし貧賤子たちは各其業有て衣食の資を

得て飢寒ニ至らす富貴にして業あれば道に背け

たる非をなすニ不至人家の子弟の酒ニ沈り色ニ

溺レ博奕の外道ニ陥る或ハ衣服調度に美麗を飾る

なし無用の財を贅し諸々の善らぬ少年と俉(ゴ)[くみ/やふ]を

なし終に身上破滅ニ至るハ是其本心の不肖ニハ非ず

定れる業なく遊惰[あそび/おこたる]に日を渡るニ因る或は

哺啜飲食[のミ/くらふ]の邪路に入り又は銭財賭博[かけこと/ばくち]の

外道ニ落る可悲の甚敷也

 大学ニ小人間居して不善をなす間居とハ定まる業なく

 閑服無辜の時これよりして或ハ砕飽の念を生し

 果は博奕遊戯の欲を興す無業に因る也

左□□【虫喰】此ニ至ハ勤るニ在り勤むれハ匱(トボ)しからす[ ]【虫喰】諺ニかせくに

追付窮鬼(ビンボウカミ)なしとハ此事也