六九 享保元年十月 田地譲渡証文

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(七左衛門井出家蔵)

  譲渡し申田地屋敷証文之事

 上田壱反三畝廿六歩  中畑弐反壱畝拾三歩

 中田弐反八畝拾五歩  下畑壱町拾九歩

 下田四反四畝拾九歩  屋敷[弐セ廿四歩ハ郷屋敷/七セ拾七歩ハ町や敷]

  田畠屋鋪合弐町壱反九畝拾三歩外ニ藪廿四歩

右は亥ノ年御検地御水帳ニ太右衛門与名所付候田地、壱歩之所も不残後家所持致申候所ニ、男子無御座女子壱人御座候ニ付、居跡むこ取申候所ニ不縁ニ付、居跡むこ相返し無出入相済申候、依之諸事百姓役相勤申義尤田地相続不罷成候ニ付、此度草加町武左衛門・大間野村弥兵衛・立野村嘉右衛門仲人ニ而、諸親類相談之上女子ふきと五郎左衛門夫婦ニ致、田地家財不残相渡申し候、依之借金拾五両御取替被成候ニ付、慥ニ受取借金等相済シ埒明ヶ申候上ハ、向後右之田地御心次第ニ可被成候、其節脇ゟ一言之義申間敷候、尤村並諸事御勤可被成候事

 一御 公儀様御法度ハ不及申諸事大切ニ相勤可被成候、勿論母ニ随分孝行夫婦六【睦】間敷可仕事

 一右田地ニ付御 公儀様御年貢米金夫食拝借壱合壱銭茂無御座候、尤借金質物無尽書入等一切無御座候事

 一右田地家財ニ付諸親類ハ不及申、誰人成共構申者無御座候、若何角申者御座候ハゝ加判之者何方迄も罷出申訳ケ仕、貴殿へ御苦労ニ掛ヶ申間敷候間、田地家財之儀ハ何分ニも御心次第可被成候、

 一母隠居致候ハゝ扶持方米五俵、小遣金壱両弐分ツゝ年〻母一生之内無恙御渡し可被成候、

 一孫女子壱人御座候、成人致候ハゝ相応ニ御仕付可被成候事

右之条〻相定申上は少茂相違仕間敷候、万〻一不縁ニ茂罷成候ハゝ、右取替金拾五両返進可申候間、田地家財此方へ御返し可被成候、其節何かと六ヶ敷義不申拙者共立合急度埒明ケ可申候、為後日田地家財譲リ証文連判一札仍如件、

  享保元年申十月   谷古田領立野村

              太右衛門 後家(印)

              [親類/佐兵衛]  後家(印)

              名主   長左衛門(印)

              五人組  市郎右衛門(印)

              同    甚兵衛(印)

              同    嘉右衛門(印)

 越ヶ谷領七左衛門村

      門平殿

      五郎左衛門殿