一九五 天保六年十月 越ヶ谷宿干鰯商専売願

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(慶応大学蔵)

  乍恐以書付奉願上候

武州埼玉郡越ヶ谷宿干鰯商致候百姓重次郎・同弁蔵・同佐兵衛・同仁兵衛・同藤兵衛・同武兵衛・四町野村伊右衛門・大沢町次郎兵衛并宿役人共一同奉申上候、当宿町村之儀は往古ゟ右重次郎外七人之もの共儀、粕干鰯重〻引請問屋同様ニ渡世罷在候処、近来干鰯出来候上総下総浜方之もの共、宿内へ干鰯持出在方之もの共与相対直売致候ニ付、自然与最寄在方之もの共儀も右を見習干鰯買出、宿内へ持出商ひ致候ニ付、年増商人而已相殖糶売糴買等仕候間、売買猥ニ相成売場先之儀も勝手儘之取引仕候ニ付、掛方等出来候もの共ハ猶向〻に罷越相対買請候ニ付、掛方等滞勝ニ相成歎敷候ニ付、浜方在方ゟ罷出候もの共ハ役人共ゟ其度〻相制候得共不行届、右次第ニ而ハ古来ゟ干鰯商致候もの共渡世ニ相離候様相成誠に歎敷奉存候、然ル処先般御改革被 仰出候節宿内ニ而商仕候もの共ハ勿論、質屋旅籠屋共一同御取調ニ付、夫〻書上候内右重次郎并弁蔵・作兵衛・仁兵衛・藤兵衛・武兵衛・伊右衛門・次兵衛八人ハ前〻ゟ粕干鰯渡世仕候ニ付、此もの共江干鰯一手ニ引請正路ニ商仕、且浜方ゟ持出売買仕候儀ハ不相成段前〻ゟ承知仕候儀ニ付、已来相止候様仕度、然上は宿内商人共取締も宜敷在方之もの共も、売買之儀猥ニ不相成、往〻一同之為合ニ相成可申与奉存候間、何卒以 御慈悲前書重次郎外七人粕干鰯一手ニ引請渡世仕、相当之冥加永御上納仕様被 仰付被下置度偏ニ奉願上候、右願之通御聞済被成下置候ハゝ一同取締宜敷、安穏ニ商内渡世仕偏ニ 御仁恵与挙而重〻難有仕合奉存候、以上

  天保六未年十月   当御代官所

              武州埼玉郡越ヶ谷宿

                百姓 重次郎

                同  弁蔵

                同  佐兵衛

                同  仁兵衛

                同  藤兵衛

                同  武兵衛

              四丁野村

                同  伊右衛門

              大沢町

                同  次郎兵衛

              右越ヶ谷宿

                名主 吉兵衛

                同  忠次郎

                同  庄兵衛

              大沢町

                同  太郎兵衛

              四丁野村

                同  太郎兵衛

 伊奈半左衛門様

      御役所