三七五 文政元年十月 大沢町旅籠屋弥兵衛一件裁許請書

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(『御用書留』大沢福井家蔵)

 大吉村斎兵衛忰斎次郎義、大沢町旅籠屋弥兵衛抱食売女まんを誘引出し、弥十郎村忠右衛門方ニ而両人共囲置候旨及承、弥兵衛并近所之者共長八等一同罷越まん引立候節、長八義忠右衛門妻ミよに疵為負候ニ付、夫〻ゟ御代官様方御役所江御検使願上候処、御吟味中扱人大川戸村源兵衛、弥十郎村紋平立入大沢町伝吉内世話人ニ而療治代弥兵衛方ゟ金拾両、場所入用斎次郎方ゟ金五両〆拾五両忠右衛門方へ為相価内熟仕候ニ付、御吟味下願連印を以申上候処、吉岡次郎右衛門様御役所ニ而、中追放長八右場所ニ立障候処右名前相除及熟談候段御聞届無之、御奉行土屋紀伊守様江御差出ニ相成申候処、再応御吟味之上左之通被 仰渡候、尤療治代之義ハ是迄忠右衛門方ニ而も入用ニ相掛リ相戻リ不申候、内実熟談相整候義も御代官様ゟ申立ニ相成候而ハ不相済義、扨〻二度之難儀当惑ニ相成候事、御請証文之写

  差上申一札之事

武州弥十郎村忠右衛門宅江、同国大沢町弥兵衛其外之者共罷越及不法ニ、長八は逃去忠右衛門女房みよへ弥兵衛疵為負候一件、銘〻御支配御役所におゐて一通リ当 御奉行所江御差出シ相成、再応御吟味之上左之通被 仰渡候、

一弥兵衛義抱食売女まん致欠落行衛尋罷出候留主中、先達而中追放御仕置ニ相成候長八罷越、まんハ忠右衛門方江斎次郎連参候沙汰有之候間罷越、可取戻由家内之者へ申聞及断候へ共、不願請同人方江罷越候旨帰宅之上乍承右次第宿役人へも不申聞、其上忠右衛門宅江罷越長八為居合候ニ付、御構之身分可立入筋無之旨申聞、同人ハ其場を逃去一同致成候義ニ無之候共、理不尽ニまんを引立ミよ・助右衛門取支候迚馴合候義と相疑、威の為帯居候脇差を抜振廻し、みよへ疵為負候上まんを連帰候始末、旁不埒ニ付手鎖被仰付候、

  但みよ為療治代銀壱枚差遣候様被 仰渡候、

一伝兵衛・長兵衛・伊兵衛・喜六義、弥兵衛抱食売女まん致欠落忠右衛門方江斎次郎連参候沙汰及承、弥兵衛倶〻罷越、同人まんを引立候節みよ・助右衛門取支候迚、弥兵衛脇差を抜振廻し候を取鎮も不致、狼狽罷在みよ疵請候次第ニ相成候段不埒ニ付、一同急度御叱被置候、

一斎次郎義弥兵衛抱食売女まん欠落いたし候途中ニ而出逢候節、同人任頼ニ囲置追而忠右衛門方江連参、当分差置呉候様申聞候節、弥兵衛其外之者共罷越及不法ニ候迚、其場を逃去りみよ疵請候次第ニ相成候段不埒ニ付、手鎖被 仰付候、

一まん義年季中、主人弥兵衛方致欠落、斎次郎へ身分之世話相頼候ゟ事起リ、弥兵衛其外之者共忠右衛門宅江罷越及不法、ミよ疵請候次第ニ相成候段不埒ニ付、急度御叱被置候、

一忠右衛門・甚兵衛義、忠右衛門留主之節斎次郎まんを連参リ差置呉候様家内之者へ申聞、帰宅相待居候内弥兵衛其外之者共罷越、及不法ニ候始末訴出候節、長八も罷越候旨みよ申聞候迚、同人ハ先達而中追放御仕置ニ相成候者ニ候処、得与糺も不致不取留義を以、弥兵衛同居之趣申立候段不埒ニ付、一同御叱被置候、

一みよ・助右衛門儀ハ不埒之筋も無之、無御構段被仰渡候、

右被 仰渡之趣一同承知奉畏候、若相背候ハゝ重科可被仰付候、仍御請証文差上申所如件、

            大貫次右衛門御代官所

             武州埼玉郡大沢町

 文政元寅年十月十九日     旅籠屋 弥兵衛

              伊兵衛

              儀兵衛

              長兵衛

              弥兵衛召仕

               喜六

              同人抱飯売まん

               右惣代

                    伝兵衛

                    長兵衛

               宿役人惣代

                年寄  弥右衛門

            吉岡次郎右衛門御代官所

             同州同郡大吉村

               百姓才兵衛忰

                   斎次郎

               村役人惣 代

                 年寄 久右衛門

            大原四郎右衛門御代官所

             同州同郡弥十郎村

               百姓甚兵衛代兼

                    忠右衛門

               右忠右衛門忰助右衛門

               忠右衛門女房

                    ミよ

               村役人惣代

                 年寄 紋平

 御奉行所

  土屋紀伊守様御留役山田周蔵様御掛り