四四一 文政五年 小林村香取社祭礼式法

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(小林江原家蔵)

 【表紙】

  「御祭礼式法  小林村役人

  正一位香取大明神

  壬午 文政五年改正    」

   目録

 一祭礼式法帳    壱冊

 一水代御宿帳    壱冊

 一宿〻勘定帳

   永〻之分

 一帳文庫      壱ッ

右宿〻江無取落相廻し可申事、此外古書物類候ハゝ時之名主ニ可置事

   請取渡覚         茂右衛門

                伝兵衛

 一子年            角右衛門

                五郎兵衛

                弥五兵衛

                吉兵衛

                勘右衛門

 高弐拾六石九斗三升九合七勺   茂右衛門

 高六石五斗八合三勺       角右衛門

 高五石九斗九升八合七勺     五郎兵衛

 [高七石五斗六升八合七勺/同六石三斗四升弐合弐勺]     弥五兵衛

 高三石六斗三升壱合       吉兵衛

 [高五石五斗壱升七合五勺/高三石六斗七升三合九勺]     伝兵衛

 高七石九升弐合九勺       勘右衛門

           〆七人名所

一丑年       此名所高割物

            忠兵衛  五分出ス

            十左衛門 弐分五厘

            伝右衛門 弐分五厘

 高弐拾石五斗壱升三合四勺    [十左衛門/勘兵衛]

 [高九石七斗四升五合四勺/高九石七斗五升四合六勺]     伝右衛門

 [高八石六升八合/高拾六石壱斗壱升九合五勺]    忠兵衛

          〆四人名所

一寅年       此名所高割物

          此請四株惣高割ニ而可出候筈

 高拾壱石弐斗九升壱合四勺    [市郎右衛門/権右衛門]

 高拾九石七斗五升弐勺      [八右衛門/彦兵衛]

 [高拾石四斗/ 三石六斗三升弐合七勺]     [太兵衛/仁兵衛]

           〆六人名所

一卯年       此名所割物

           兵庫   名所 五分出ス

           八左衛門 名所 弐分五厘

           久右衛門 名所 弐分五厘

 高拾壱石六斗四升四勺      兵庫

  三拾八石弐斗四升八合六勺   同人

  弐石弐斗弐升         佐兵衛田地

   [此内匠田地共勘定之外/御座候、相のぞき可申候、]  [同人/内匠分]

 高拾七石八斗六升三合弐勺    久右衛門

 高[拾弐石九斗六升四合四勺/弐石弐斗五升七合三勺]    八右衛門

         天保三寅年右分ハ新初年ニ而宿致し

           〆三人名所

一辰年       此名所高割物此後は五株惣高割ニ而可為候、

 高拾五石六斗弐升弐合      [与五兵衛/理右衛門]

 [高拾弐石三斗七升八合九勺/同四石五斗壱合七勺]    [勘左衛門/勘兵衛]

 高拾七石壱斗壱升壱合      九右衛門

 高拾三石三斗四升六合弐勺    権兵衛

            〆六人名所

一巳年       此名所高割物半分宛出ス

 高拾九石四斗三合        孫兵衛

 高弐拾八石三斗九合五勺     次右衛門

            〆弐人名所

一午年       此名所高割物

          四株江割銘〻小高江割出ス

 高拾七石壱斗四升八合六勺    彦右衛門

 高拾石六斗壱升四合壱勺     [市兵衛/忠右衛門/伊兵衛]

 高九石八斗八升壱勺       次右衛門

      此高ハ次右衛門名所市兵衛徳兵衛田地

 [高拾石九斗四升壱勺/高七石八斗三升八合六勺]     [半右衛門/金兵衛]

 高拾弐石四斗四升三合七勺    四郎左衛門

            〆七人名所

一未年      此名所高割物四株惣高割ニ而出ス

 高拾七石七升壱合三勺      市郎兵衛

 高拾壱石三升六合六勺      武兵衛

 高七石九斗六升九合六勺     七郎左衛門

                  市右衛門田地

            〆三人名所

一申年       此名所高割物

           藤兵衛・彦四郎半分出ス

           七兵衛  弐分五厘出ス

           吉右衛門・勘右衛門ニ而弐分

           五厘出ス

 高三拾三石七升七合       [藤兵衛/彦四郎]

 高拾五石六斗弐合        七兵衛

 高拾五石五斗八升九合七勺    [吉右衛門/勘右衛門]

            〆五人名所

一酉年        此名所高割物

        七郎左衛門・才兵衛ニ而半分出ス

        安兵衛・元右衛門ニ而半分出ス

 高拾五石六斗六升弐勺      安兵衛

 高拾五石八斗七升三合六勺    元右衛門

 高拾九石壱斗六升七合四勺    [七郎左衛門/才兵衛]

          〆四人名所

一戌年       此名所用銭惣高割

 高五石六斗八升弐合       彦四郎

 高弐石弐斗八升三合壱勺     小右衛門

             助右衛門地取添

 高七石七斗四升壱合三勺     太郎兵衛

 高弐拾壱石四斗三升三合七勺   茂兵衛

 高拾八石七斗五升弐合七勺    十郎兵衛

 高拾七石壱斗三升八合五勺    与右衛門

           〆六人名所

  正月七日来当番請取之事

一宮之前江来年御宿番壱人はかま羽織ニ而可出、尤来年相当大勢之節御神酒頂戴申何れ茂可戴、御拝殿座席込相候節は相談之上壱両人神前江可罷出、兎角時宜ニ随江睦敷可致事大切ニ、聊義もの言ひ事相慎ミ可申事

一七日夕当番之方ゟ頭渡し大根并御番造桶江御神酒弐升入、来年御宿江持参致し、但人数三人参ル、来当之方ニ而は相当之面〻立合右品〻頂戴事

  右献立

 三ッ組盃  餅吸物  かん酒  有合午房

 外ニ時〻有合セヲ以肴可出 但盃数七こん也

一同日夜相当之者不残打寄御神酒頂戴之事

  右献立

 味噌吸物 ねき大根へとふふ入  有合午房

 外ニ有合之品ニ而頂戴之事

  但手酒弐升買候事、惣面割

一正月廿日待之事

 御客御別当斗  但御布施なし

  右献立

 めし汁  平盤八はいとふふ  猪口有合之品

一五月廿日待     前同断

一九月廿日待     同

一十二月廿日待之事

 但相当之人数打寄諸掛相談、銘〻江入用書付相配リ可申、兎角しんひやう専一之事

 御客御別当 昼之内御出之事

  右献立

 御酒盃  吸物御膳汁ニ而差合セ可申事

 肴金平午房・ヌた・大根・こんにやく・あけとうふ

  御膳

 めし汁[大根/とふふ]  香之物  壺[ごま江/午房]  平盛[八はい/とふふ]

  同日夜相当打寄候節

 吸物[大根/とふふ]  皿[むきみ/やつこ]  えびのからいり  金平午房

  但酒弐升買面割其余は呑仲ヶ間ニてはねつこ之事

一甘酒造込は晦日二日之内、時之寒暖ニよるべし

一晦日二日之内八丁シメ、是は小から竹之甘酒江いたす、能〻きれいニ可申付、是は正月七日宮ノ前的シメニ相用イ候事

一正月六日ワらミゴノ図


 座元御札

 右甘酒ワラミゴニテ備江候紙共ニ、但紙こし弐枚ッゝ四角ニ折、其上ニ供シ御座本之御札左右ニ納取置一正月六日相当打寄支度之事


 大的  壱枚 差渡し三尺

 小的  差渡し凡積り、相当之人数程コシらへ家〻江壱本ッゝ持参事

 桃の弓弐丁 大数也 但丈は五尺

 矢よし年ノ数程コシラヘ候、但丈は三尺

 右半紙入用は御幣并八丁シメ共三帖半程入申候、ユリバチニ御幣等納置能〻祈念して、ハリの上ニ明日迄可納置取置御幣江可供

  御幣同六日之支度也

 幣のり入紙 本社香取大明神

 幣半紙   末社稲荷大明神

 同     同 鷲大明神

 一熊野三社

 幣半紙  正面 熊野大権現

 同    左  白山大権現

 同    右  秋葉山大権現

  幣本社末社共ニ六本也

   但八丁シメ三ヶ所 ハライ三本

一六日別当御初穂

 青銅四拾疋 白米四升

  但年中廿日待六日法楽度迄兼上ル之ヲ

一六日昼八ッ時頃御別当江座元宅ニテ先ッ甘酒 御神 酒壱コン 三ッ組盃、次ニカン酒二コン夫より本膳ヲ出ス

  右献立

   のりかけ

 めし 汁[大根/とふふ] 香之物 坪[ごまに/午房] 取会[大根/にんしん]

 平盛[くわい/椎茸/せり/ふ/あけどふふ] 猪口[金平/午房]

 右御中酒八時之別当御望次第、膳後ニ而も膳前ニ而茂具略様子次第

  右カン酒出し候節御肴金平午房[すにんじん/す午房]

一六日夜惣座中献立

    のりかけ

 めし 汁[大根/とうふ]  香之物  坪[ごま江/午房] 生酢[えび/大根/にんしん]

 平盛[くわい/しいたけ/セリ/ふ/あけどうふ]

 御神酒頂戴之事、次ニかん酒五コン

 取肴「金平午房      一ッ/すにんしんす午房  一ッ/むきミぬた     一ッ/えびいり      一ッ]

一七日朝惣座中 赤飯也、 同昼中食 小附めし

一同日本社江備供物 赤飯 甘酒 神酒

  但杉ノ葉ヲ敷可備江候、尤別当之御役也

一同日拝殿献立之事

 御神酒  三ッ組盃  こま塩付 赤飯

  喰積台[白米/小刻ミくわし/かちぐり/かや/たい/\/みかん] 甘酒但[御番造桶ノ上ニほんヲ/のせ当渡大根のセ出ス事]

    カン酒

  取肴[す午房  壱重/すにんじん 壱重]  皿二面やきするめ

  鯉二皿[酢しほ/酒槃入]  頭渡し大根弐本

  上面[御客衆/西名主/観音寺/東福寺/北名主]

   左右 年寄中 但村役人羽織はかま何れも失意なく差服する事

 来頭番御宿壱人 羽織はかま

  外ニ相当番時宜ニ随ひ可出事

  セうばん人兼 亭主役壱人 外は時宜ニ随ひ可出事

 的射之七ツ子供弐人

   正月七日古例より作法書

 的射ノ子供弐人上面ノ前ニ向セ膳ヲスエル、赤飲夫より御神酒、上座弐人ヨリ的射子供弐人江三度之礼ヲなし、段〻座中江礼終テ上座より御神酒イタゞキ、子供ニイダカセ其後甘酒ヲ盛リ廻ス、是迄ニテ子供弐人は可立事

一カン酒二コン廻し鯉ヲ可備コケフク間ニ座敷之衆カン酒二コン可廻ス、此二コンハ酒盛リ之外之コン数ニ候間、面〻勝手次第シイコヲナシニ可廻ス、コケフク間ノ二コン具略様子次第、此所ニテ定役ユリバチヲ以テサイセン座中ヨリモライ封印、万弐人之布施ニ可致事

一鯉スク出シテ又カン酒二コン、是より謡ヲウタイ随分酒ヲ能〻可盛之、此二コン終テ頭渡し也、但官人ノ者アラバ頭渡し前ニ官人ヲ出し此酒盛二コン也、次ニ

一頭渡し当番南ノ方、来当番東ノ方ニ、当番ノ衆中上面来頭ノ衆中ハ向座中ニ[大根弐本/御礼]高桶ニノセ、当番ノ方江御札ヲ向可備、当座本御札ヲ取イタゞキ当番ノ衆中イタゞキ又座本ヨリ来頭ノ座本江御札ヲ向ケ可渡ス、来頭ノ座本御札ヲ取イタゞキ来頭之人数皆〻御札ヲイタゞキ来頭座本江、座本之ヱエリヘ御札ヲサシ御神酒イタゝキ廻し、御ミキ終テ何れ茂元ノ座ニ付キ頭渡シ酒盛二コン、是は随分当番精ヲ出しウタイ候而可シ【ママ】イ、二コン酒座中能こし候ハゝ上座ヨリ千秋楽ヲウタイ仕廻、互ニ神妙ニ礼儀ヲナシ皆〻立座

一古例ヨリ祭リノ問寺江酒ヲ取寄セ呑之申事禁シ候間、氏子面〻此儀ヲ可嗜、又〻祭リ終リ候ハゝ男女子供迄モ早〻内江可帰ル、寺江寄リ遊ブモノアラバケンクワ等出来シテ祭ノ不吉也、昔ヨリ村中ニテ此議ヲ嗜申事ニテ候也

   以上

右正月七日古例作法書ヲ右キ書物ノ中ヨリ出此所江書写致し置候、末〻迄忘脚無之様心掛ケ此帳面永ク用イ候上は、猶万〻年小林村ノ繁栄恐美〻敬白

  午正月

  正月七日晩当番宿之事

 鯉[薯汁/とふふ] 御酒キコン次第 取肴見繕ひ 小附めし

  同八日 勘定之節

 めし汁とふふ  香之物  平盛八はいどうふ

 酒肴時之相談たるべし 但神妙ニいたし宵之内立候事

  古例高割物

一上新酒 壱樽  一鯉 弐本 此金壱分ニ定メ

一御布施 四百文 一御番造桶 但[当宿ゟ弐百文/出し候事]

            此代三百文位

 右四品高割之事

  面割之事

一白餅米 但[壱人前/壱升ッゝ]  一白米 但[壱人前/弐升五合ッゝ]

一小豆  但[壱人前/弐合升ッゝ] 一薪  但[壱人前/壱わ半ッゝ]

 此外小買物諸入用、何ニ而茂面割之事

 甘酒仕立白米椛共、時之人数ニ寄相応ニ廿日待ニテ相談いたし造り込候事、赤飯茂同断たるべし

 十二月廿日待買物之事

一酒弐升  一とうふ  一大根  一午房

一こんにゃく  一あげとふふ  一むきみ

一から  一えび  一酢  〆

 十二月廿二日買物之事

一椛  一ひしやく弐本  一えび壱升

一頭渡し大根弐本  一小刻メくわし三拾弐文位

一だい/\壱ッ  一かや五勺  一かち栗壱合

一みかん二十

 正月六日買物之事       〆

一酒壱樽但酒檗もらゐ候事  一半紙五帖

一苧四十八文  一炭壱俵三百文位

一大根にんじん午房セリ  一くわいふ浅草のり

一豆腐から共  一あぶらげするめ弐枚

一むきみ上酢壱升 一らうそく拾丁但百文ニ四丁程

一のり入五枚しいたけ

  以上

 神前入用之道具有まし

一幕弐さげ  一のぼり弐本  一たいこ

一みき徳利二ッ  一三宝  一三ッ組盃壱通り

一喰積台壱ッ  一ユリバチ弐ッ  一まな板弐枚

一鉋【庖】丁まなばし  一ひぐ焼大皿弐枚

一膳腕当日人数程  一汁わんおやわん素かさ中かさ

一ひしやく弐本  一へつつい壱つ  一釜壱つ

一花ごさ壱つ  一かないろ弐つ  一うすべり八枚

一むしろ十五枚  一火鉢壱つ三つ四つ

一たばこほん  一薪三拾抱位  一炭

一はし沢山  一めしびつ弐つ

一赤飯ちらしむすび入  一半紙壱帖

一巻するめ弐皿  一めしつぎ弐つ

   再定

右文政五午年 御祭礼より改相勤申候、往古は小人数ニ而相勤候儀ニ付有増高割勘定ニ相成候哉、委敷不弁候得共御検地時節与て村方人数家数次第ニ相増し、昔小人数之振合ヲ以高割重ニ而は、大高持之面〻入用相嵩可申抔彼是差もつれ有之、大切之御祭礼安心無之候ニ付、今年再改前書相極メ申候間、向後此形ヲ以御勤被成候御方は、此帳面永ク御用イ御宿番江正月八日勘定相済候上は御渡し可被下候、且式作法之儀は古例大切之儀は存候、勿論御宿等之儀は時〻睦敷相談いたし争ひ事無之様熟知第一之御事ニ候、且亦極凶作之年は一同和談可執計候儀、兎角神慮之儀は過礼減礼ニ不相成様相守度事、此御祭礼は小林村年〻大礼万代迄茂御繁栄、当村ニ住居之者は奉願事ニ愚慮仕候、猶末〻古例相弁証拠書物等御所持之御方は、此帳江御書添被成下候様希候、已上

  恐美〻敬白

 文政五午年            (花押)

  千代八千代 香取の祭り まつのやと

     この小林のあらん限りは、

                  (花押)