四八八 嘉永六年三月 ものはづけ奉納額

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(越巻中新田薬師堂蔵)

   色よきもの

 夕日のもミし        大松

 海原のあけほの       巍文

 はつ春のたひ面       米山

 日の丸のおふき       孝保

 朝ひらきのミなと      阪全

 水引のかけ様        坂翠

 名古屋の鯱         原松

 瑠璃のかゝやき       亀甲

 烏のぬれ羽         嶋機

 夕はへの顔あひ       福清

 黄鳥のはつ音        竹伝

 ふくさのぬひもやう     斎酉

 雪はれの松はら       小松

 皆はれのあふ空       魚関

 猩〻の哭かほ        嶋元

 江戸むらさき        高寅

 鳳凰の囀          大長

 あさかほのさきそめ     阪亀

 雪のあけほの        竹熊

 二見の日の出        一竜

 夜見世の西瓜        松和

 藍の出はな         大吉

 宇治の名物         海亀

 たるまのころもかへ     堀吉

 たこの浦の富士       夕月

 新茶の煮はな        四方

 夜市の水菓子        鈴口

 むら雨のにし        高亀

 清もりの日の丸       中富

 銅のろく青         紺角

 飛鳥山の風景        斜勝

 元日夢のおもさし      吉常

 朝かほの□□つく      河清

 よしのゝはないかた     孝保

 佐渡のたん物        坂宗

 彩色の出来はへ       松治

 梶原のさしもの       竹嶋

 官女の居ながれ       鋪良

 こひのたきつほ       悪酔

 七宝の荘厳         斎良

 奥のまつ嶋         斎良

 露のいなくさ        小雪

 立田のにしき        高元

 緋おとしのよろひ      才太

 硝石壺のきん魚       嶋路

 加茂がわの水        名武

 梅花のにほい        亀之

 わらい出したる梅苞     魚女

 小町のおもひうた      魚子

 あたなうつりか       魚定

 蜀紅のにしき        魚使

 鳳おふの羽ころも      厚文

 鹿しまのあけほの      平芳

 瑠璃の浄土         大夢

 瑠璃の明玉         斎教

 京女らの花見        □倉

 故障の札所         松露

 九重に匂ふならの里     魚勤

 水面の若葉         飯保

 のつらあさ日のふしの山   名保

 けん上の御茶        竹万

 紅花の行末         福初

 花のすまひ         花暁

 江戸紫に京の紅       底抜

 からすの羽衣        名極

 湯あかりの化粧       其暎

 勝利のはたの手       名陸

 青田のあさくれ       米門

 峯のゆふたち        榎松

 きミのかとまつ       魚定

 なすひのはな妻       亀甲

 上巳の新客         悪酔

 須弥の両眼         芥山

 なひものは  紫蘇色男   魚定

 [のしより/ なひものは] 伊勢かひ帳  孝保

 [□□中/ なひものは] 野馬台の読姫 亀甲

 〃      江東絵図の奢 悪酔

 〃      水引の腹帯  応抜

 なひものは  高妙の先婦  米山

 万物かたちをそなへて色をなす、其元一、一二を生し、二三を生し、三万物生事知 夢の仮想帰すれは一、発すれば、森羅万像猫も杓子も色仲間

  さとらねは みぞあれ     南無庵

     はなの いろも香も

  嘉永癸丑春日書(印)(印)

【裏面】

  南無庵 登戸村 報土院

  発願主 当所米山 名倉慶蔵

 于時嘉永六年癸丑春三月掛之

  世 孝保 佐藤 名倉忠兵衛

  話 亀甲 当所 高橋治郎右衛門

  人 魚定    嶋村定蔵

    悪酔    同平助

      綾瀬領 越巻村平助(印)