四九九 天保五年八月 家相続に付家訓書

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(登戸関根家蔵)

  家相続箇条之事

一主人身持堅固第一并暮方之儀ハ、物成金百弐拾両を以御年貢諸役、其外共一切可被相賄候事

一江戸并町在〻共諸御用私用共ニ家出之節ハ、用向相済次第早速帰宅可致候事

一出府又は他行之節永〻留主ニ致候事有之節ハ、留主居之仁江何日頃帰宅可致候様能〻申咄置、又候用向出来候節は態〻成とも宅江通達いたし、成丈は永逗留致間敷候事

一出府井他行之節無拠人〻江附合之節、遊事酒食共ニ不及、是悲候事有之節ハ、万事心を被附、然れとも長座ニ達出立兼候節其沙汰聞次第、分家共ゟ向【迎】之仁遣し候節は、夫を手にはにいたし、早速向之仁同〻【道】ニ而可被帰罷候事

一他行先ニ而懇意近付と申、其人〻宅江連来候事甚不益之至、縦親類衆ゟ差図有而参候共、此儀は不益之事ニ候、若断難相成節ハ分家共ゟ難相成旨可申断候事

一他行之節駕籠ニ而宅江戻候事往変之費、勿論其時節ニ而病気体ニ候ハゝ不及是悲事、相成丈は急度可被相止メ候事

一樹木庭之拵方荒増ニいたし、格別心を尽し候事是迚も往変之費、兎角心に可被懸候事

右此ヶ条書常〻心ニ可被懸候、万一不相守勝手儘次第被成候ハゝ、分家共ゟ一言無申述諸親類衆江申談、親類衆御差図ニ任何様可被仰付候共、聊恨無之趣ニ而対談ヶ条取極、連印取替せいたし候上は、後日違変致間敷候、依而如件、

              登戸村

  天保五午年八月          三郎兵衛(印)

               分家  平蔵(印)

               同   専蔵(印)

               立会人 源右衛門(印)