越谷市史編さん事業は、昭和四十三年四月に発足、通史編二巻・史料編三巻、計五巻の市史刊行を目途に今日に及んだ。この間市内に現存する文献史料・遺物資料・遺習資料の収集調査を行なうと共に、市外・県外に散在する関係資料の調査をも実施した。さらに、これら基礎資料調査の結果を「越谷市金石資料集」「越谷市民俗資料」「越谷市近世古文書目録」「越谷市史研究報告」「越谷市近現代資料目録」にまとめ、これを調査報告書として逐次刊行した。また昨年度は、第一回配本として「越谷市史四史料二」の公刊をみた。これには本市関係の近世史料のうち越ケ谷瓜の蔓・大沢猫の爪・白竜山日記録などの地誌・記録類を中心に、内容的にも量的にもまとまりあるもの十点を選んで収録した。今回第二回配本として刊行した「越谷市史三史料一」は、厖大な収集筆写史料のうち近世文書五〇〇点、中世文書六点を選び、これを支配・伊奈家関係・村况・土地・貢租課役・戸口・村政・産業・貸借・水利土木・交通・鷹場・社会・災害救恤・寺社・文化・家の一七項目に分類し、それぞれ年代順に配列収載した。収録した史料の多くは、庶民史料として価値の高いものばかりであり、これら史料から時代の流れをくみ、地域のあゆみをつかむことかできよう。
末尾ながら、貴重な文化遺産であるこれら史料を、今日まで保存せられ、かつ今回の市史収載をご快諾のうえ、多大のご協力をいただいた関係各位(史料所蔵者一覧参照)、および本書の見返し図として、日光道中絵図のご提供をいただいた、千葉県野田市高梨茂氏に対し、心からの敬意と感謝を申上げる次第である。
昭和四十八年三月
越谷市史編さん委員会