一八八六年の各村の町村費をみると、地価割は地価の〇・三四-〇・三五パーセントが賦課され、その残余が戸数割と雑収入であった。地価が安い下谷村ほか三カ村は地価割収入が少なく、町村費の財源は戸数割収入に頼らざるをえず、戸数割収入が約七五パーセントを占めた。
支出(表14)を見ると、各村とも役場費が二〇-三〇パーセント、教育費が六〇-七〇パーセントを占めた。役場費と教育費をあわせると総支出の八〇-九〇パーセントにもなった。末武上村外三カ村を例にとって詳しく見ると、役場費は庁費であり、役場営繕費を含んでいる。会議費は議場雑費がほとんどで消耗品費五円を含み、土木費は道路修繕費である。教育費は俸給費が七九四円余で約八〇パーセントを占め、その他は備品・消耗品・雑費である。衛生費は村医と種痘経費、勧業・救助費は雑費のみ約五円の支出、災害・警備費の支出はなかった。
表14 各村の町村費支出(1886年 予算額) |
村 名 | 河内村外三ヵ村 | 東西豊井村 | 末武下村外 1ヵ村1ヵ島 | 末武上村外三ヵ村 | 下谷村外三ヵ村 |
円 % | 円 % | 円 % | 円 % | 円 % | |
役場費 | 193.212 (18.0) | 233.217 (29.5) | 342.600 (31.0) | 379.530 (25.2) | 134.030 (22.4) |
会議費 | 15.401 ( 1.4) | 10.000 ( 1.3) | 10.000 ( 0.9) | 17.000 ( 1.1) | 5.000 ( 0.8) |
土木費 | 16.640 ( 1.5) | 8.000 ( 1.0) | 4.300 ( 0.4) | 22.000 ( 1.5) | |
教育費 | 795.450 (74.0) | 516.460 (65.2) | 717.632 (65.0) | 1017.410 (67.5) | 450.000 (75.2) |
衛生費 | 41.280 ( 3.8) | 15.500 ( 2.0) | 20.000 ( 1.8) | 25.000 ( 1.7) | 4.500 ( 0.7) |
救助費 | 1.000 ( 0.1) | 3.000 ( 0.2) | |||
勧業費 | 6.370 ( 0.6) | 8.500 ( 1.0) | 10.000 ( 0.9) | 21.000 ( 1.4) | 4.500 ( 0.8) |
災害費 | 5.020 ( 0.5) | 17.000 ( 1.1) | |||
警備費 | 5.000 ( 0.3) | ||||
計 | 1074.373 (99.9) | 791.677 (100.0) | 1104.532 (100.0) | 1506.940 (100.0) | 598.030 (99.9) |
「市町村行政区画標準調査書」(山口県文書館蔵)による |