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下松町の誕生

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 近世以来、塩の下松として発展してきた豊井村は一九〇一年(明治三十四)四月一日、町制を施行して下松町が誕生した。天然の良港をもち、一八九七年九月には山陽鉄道の停車場ができ、その翌年、下松銀行が設立されるなど、徳山町に次いで都濃・熊毛地域の商工業の中心であったためである。町制施行と同時に字室町に町役場庁舎を建設し、豊井村村長武居寅吉が町長に就任した。
 町制施行に先立つ郡長訓示に対し、豊井村村議会ではとくに規制が問題となった。一九〇〇年(明治三十三)七月十二日の議決は、①町制施行は村税が増加しない限り地元住民も賛成であるが、増加するのであれば不賛成である。②増税分は商工業税を増税するのであれば賛成である、の二点であり、町村費の膨張から町制施行による増税を危惧し、勃興してきた商工業への増税を希望した。同年十二月の県知事古沢滋の諮問に対し、翌年一月十一日の豊井村村議会は前年七月十二日の村会議決を再確認したうえで町制施行を決議し、県知事へ答申して下松町が誕生することになった(「豊井村村会議決書」)。
表18 下松町長名と在任期間
町長名在任期間
武居寅吉1897(明治30). 6. 3~1906(明治39).11. 6
岩本五郎1906( 〃 39).11.19~1914(大正 3). 2.15
剱持勝之1914(大正 3). 5.27~1918( 〃 7). 5.26
兼清常吉1918( 〃 7). 6. 7~1919( 〃 8). 2.28
金清要一1919( 〃 8). 4. 2~1921( 〃 10). 1.15
田村嘉作1921( 〃 10). 7.28~1925( 〃 14). 5.22
小野正助1925( 〃 14). 8. 8~1929(昭和 4).12.24
金清要一1930(昭和 5). 2.18~1933( 〃 8). 8.25
『大下松大観』による