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民力涵養と思想善導

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 一九〇八年(明治四十一)発布の戊申詔書の主旨によって、地方自治の整備と報徳勤労精神の養成をはかろうとする地方改良運動が起こった。都濃郡長訓示の三大必行事項も地方改良の主旨であった。
 一九一七年(大正六)、戦後準備共励事項として第一次世界大戦後の産業教育の作興運動が展開され、各地で講演会や活動写真が開催された。米川村は、降松神社宮司宮地恒雄を招いて民力涵養講演会を開き、末武北村は民力涵養活動写真会を開催し、これらの会は都濃郡内五カ村で開催された。二〇年花田報徳会幹事による報徳会設置勧奨講演会が米川村で開催された。この後、花田は下松地域各地で講演会を開き、下松地域に報徳会が広まることになった。米川村連合報徳会が設立されたのはこの二年後であった(「米川村事務報告」)。
 「精神作興ニ関スル詔書」の主旨による思想善導・生活改善の講演会が各町村・郡仏教団・郡神職会主催で開催され、国民的精神教育運動が展開された。たとえば米川村での講演会は表20であり、参加者は一五〇人から二〇〇人に及ぶことがあった(「米川村庶務統計」)。一九二二年(大正十一)花岡小学校で開かれた思想善導・生活改善講演会の要旨は①時間の尊重、②訪問の簡素化、③婚礼改善、④葬儀の簡素化、⑤入退営の簡素化、⑥酒宴の簡素化、⑦貯蓄の奨励、以上七項目であり、これらの要旨は各区長を通じて各戸へ配布された(「末武北村庶務一件」)。
表20 米川村の思想善導・生活改善講演会
年月日場 所講 師主 催備 考
1922.10.22米川小郡仏教団長
     田中鉄道
郡仏教団
都濃郡
米川村
思想善導と生活改善の講演会
1924. 2.12米川小降松神社宮司
     宮地恒雄
郡神職会
都濃郡
米川村
国民精神作興詔書の講演会
1924. 9. 5下谷
  妙音寺
鷲頭寺 住職郡仏教団
都濃郡
米川村
国民精神作興と関東大震災一周忌法会
1926. 3.18米川小住吉神社宮司
     渡辺織雄
郡神職会
県地方改良会
国民精神作興の講演会
1927. 8.16温見
  宝蔵寺
防府第四中学校長
     井上道雄
郡仏教団
米川村修斉会
思想善導の講演会
1927. 9.11温見
角 喜作宅
万倉村
     河本真澄
郡神職会国民精神作興の講演会
「米川村事務報告」による

 生活改善運動のなかで勤倹奨励がさけばれた。勤倹奨励は生活全般にわたるもので、年末年始では忘年会新年会の経費時間の節約、年賀状の濫発を慎み、歳暮年玉をできるだけみあわせ、門松注連飾りを質素とする、などであった。米川村は勤倹強調週間を設け、二五年(大正十四)は年四回、二六年は年二回、二七年は年一回実施した(「末武北村会議録」「米川村事務報告」)。