事実、市当局が五七五五人の有権者に対して作った「市会議員選挙に就きて」(十一月二十一日付)では、次のような「心得」を示しており、新市政への「翼賛」を求める性格の強い文面になっていた。
一、選挙民の主なる心得
1 選挙は国民の最も大切な権利であると同時に義務でもあるから、何は置いても決して棄権してはなりません。
2 町村が合併し、農工商夫々の寄合世帯たる本市に在っては、全体の調和、相互の共栄と云ふことが殊に肝要です。公平な正しい人格者を選ばねばなりません。
3 本市は之れから大に発展すべく、為すべき事業が多いのです、それには必ず市民の総親和、総努力に俟たねばなりません、和衷協和の精神に富む人を選出することが大切です。
(村上家文書「一般社会通達書類綴」)
こうして、十二月十日には、市内五か所で投票が行われ、市役所での即日開票の結果、定員三〇人の第一回市会議員が誕生し(表7)、以後四年間の市政参加が始まった。
表7 第1回下松市会議員一覧 |
議席 | 議員名 | 議席 | 議員名 |
1 | 弘中友一 | 16 | 河村令治 |
2 | 野田鉄一 | 17 | 斎藤秀雄 |
3 | 河野長策 | 18 | 有吉良夫 |
4 | 弘中与作 | 19 | 橋本徳治 |
5 | 武居良生 | 20 | 西村藤太郎 |
6 | 繁沢惣吉 | 21 | 木原六郎 |
7 | 原田権蔵 | 22 | 岩本亀三 |
8 | 古木基一 | 23 | 藤田音助 |
9 | 竹村与兵衛 | 24 | 河村忠治 |
10 | 山本権一 | 25 | 阿部仙治郎 |
11 | 山田百三郎 | 26 | 水本稔 |
12 | 竹尾皆一 | 27 | 高木喜代市 |
13 | 川口茂市 | 28 | 礎村友吉 |
14 | 原田唯馬 | 29 | 高橋伊三郎 |
15 | 河村爾憐 | 30 | 池上博 |
[資料]「下松市会会議録」(1939年) |