花岡文庫
久保村では一九〇四年(明治三十七)に東陽尋常高等小学校九代校長林友之が、教職員とともに各自所蔵の図書を提供し、これを枚舎の一部に備えて児童の閲覧に供し、東陽文庫と名付けた。一二年(大正元)一一代校長清木徳五郎のときに、広く図書の寄贈を勧誘して充実を図り、これを村に移管し、翌年二月、県の設立認可を受けて村立東陽文庫が開設されることになった。また米川村においては一五年に、有志九一名による拠出金八一円一五銭を、米川文庫設立資金として村に寄付し、村は設置費九六円一五銭を支出して村立米川文庫を米川尋常高等小学校内に設置した。
農村地帯に比して臨海地帯に位置する下松町・末武南村では、これよりやや遅れて二四年に下松町立図書館が下松尋常高等小学校内に、また末武村立図書館が公集尋常高等小学校内にそれぞれ設立された。これによって合併前の一町四村全部に図書館の整備をみるに至った(表1)。
表1 1925年度各図書館の概要 |
(『県立山口図書館年報』第23号) |
館名 | 位置 | 創立年 | 開館日数 | 蔵書 | 貸出冊数 | 閲覧人員 | 同左1日平均 | 備考 | ||
和漢書 | 洋書 | 合計 | ||||||||
村立花岡文庫 | 末武北村 | 1912 | 328 | 2,913 | 42 | 2,955 | 1,837 | 16,295 | 49.7 | 文部表彰 (1922・3) |
村立東陽文庫 | 久保村 | 1913 | 260 | 1,659 | 7 | 1,666 | 8,918 | 7,800 | 30.0 | 県表彰 (1925・3) |
村立米川図書館 | 米川村 | 1915 | 150 | 657 | ― | 657 | 3,750 | 2,550 | 17.0 | |
村立公集図書館 | 末武南村 | 1923 | 158 | 572 | ― | 572 | 2,931 | 2,054 | 13.0 | |
町立下松図書館 | 下松町 | 1924 | 250 | 585 | 73 | 658 | 315 | 14,000 | 56.0 |