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藤田市長と財政再建

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 一九七六年四月に執行された市長選挙には、山中市長の補佐役として一二年間助役を勤め、名助役、人情助役として名声の高かった藤田徳一が立候補し「財政危機の立直し、心の通う市民の福祉、対話で築く明るい郷土」を選挙公約し、市民各層の支持を得て圧勝の当選を果たした。就任するとただちに財政再建に着手し、政務担当助役に渡辺浮人、財務担当助役に岩崎重男を任命し、行政機構を八部制から五部制(企画財政部・総務部・民生部・経済環境部・建設部)に縮小して、行政機能の向上を図り、財政再建の一歩を踏み出した。
 その間、県、市で財政状態を調査した結果、七五年度末の実質収支赤字額が七億七九一八万円、許可外債(債務負担行為)七億三九〇〇万円、埋立事業債四億五二〇万円、特殊財産特別会計三億二一〇〇万円、赤字額合計二二億四四三八万円に達することが判明した。
 五月市議会では財政再建対策特別委員会を設置し、赤字の原因究明と自主再建か、地方財政再建促進特別措置法の適用を受ける準用再建団体となって財政再建を図るかの審議に入った。一方、市では市民に赤字の実態を明らかにし、財政再建に理解と協力を得るため、六月市民代表四四名(市内四〇団体から推薦)で構成する下松市財政問題懇話会を設置して、再建方法を検討した。しかし財政運営資金が逼迫し、九月には資金繰りの目途が立たなくなることが判明したため、市長は「地方財政再建特別措置法」の適用による財政再建を行うことを決意し、七月臨時市議会を招集し、自治大臣に財政再建の申し出をする議案を提出した。市議会も財政再建準用団体止むを得ずとして即日議決した。九月自治大臣から再建団体に指定され、「財政再建計画」策定の作業に入った。
 計画策定に当たっては、藤田市長の公約した三つの政治信念を基として、とくに児童福祉、老人福祉等については、必要な水準維持のため最大の努力が払われた。
 財政再建計画は、十月自治大臣の承認を得、左記のような厳しい条件で再建に取り組むことになった。
(一) 再建期間 七六年度から八三年度までの八年間
(二) 確定赤字額 二三億三一五六万七〇〇〇円
(三) 歳入に関する事項
  税収
(1) 課税客体の完全捕捉と自主納税の促進・滞納の防止。
(2) 再建期間中特別措置として、市民税法人均等割を標準税率から制限税率に、固定資産税の税率一〇〇分の一・四を一〇〇分の一・七に超過課税を行う。
(四) 税外収入
  (1) 使用料・手数料は、所要経費または他団体との均衡を勘案して適正料額を徴収する。
  (2) 財産収入については、遊休不要なものについて売却処分を促進する。
  (3) その他の収入についても合理的に収入の増加に努める。
(五) 歳出に関する事項
  人件費
  (1) 特別職の報酬等は、類似団体の状況を考慮し節減を図る。
  (2) 職員数は退職による減員を図り、再建計画最終年度における職員定数を類似団体なみにする。
  (3)職員の給与は、国家公務員の給与に準ずるため、給料表の適正な運用(ワタリ是正)、技能労務職給料を設定する。
  (4) 定期昇給は当分の間、行わない。
(六) 物件費
   不用不急経費の整理と支出の精査を行い、その抑制、節減に努める。
(七) 補助費等
  (1) 補助金、寄付金、負担金等は、支出効果を検討し縮小整理に努める。
  (2) その他の消費的経費については、支出の根拠、内容、効果を検討し、抑制、節減に努める。
(八) 投資的経費
  (1) 補助事業は、特定財源の把握を超過負担の解消に努め、財政余裕力の範囲内で執行する。
  (2) 単独事業は、緊急度、効果を検討し、財政余裕力の範囲内で執行する。
  (3) 市債を財源とする事業は、将来の財政負担を勘案して執行する。
  (4) 市費負担の伴う他団体施行事業は、緊急度、受益度を検討し、財政余裕力の範囲内でその執行に同意する。
(九) その他の経費
  (1) 他会計への繰出金は、合理的に算定して支出するとともに、当該会計の財政の健全化を図る。
  (2) その他の経費については、必要性を充分調査、検討し抑制、節減に努める。
 以上の財政再建計画に基づく歳入歳出年次総合計画は表9のとおり確定した。
表9 歳入歳出年次総合計画 (指定日 昭和51年9月9日)
(単位:千円)
年度
区分
指定日の属する
年度の前年度
1976年度
(第初年度)
77年度
(第2年度)
歳入歳入額一般財源歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 税収入2,761,9212,761,9212,908,6202,908,620146,6993,495,7003,495,700587,080
2 地方譲与税69,47969,47992,57892,57823,09992,20092,200△378
3 地方交付税95,84995,84986,00086,000△9,84986,00086,0000
4 国県支出金1,023,96822,5881,025,1894,220△18,3681,040,6024,2200
5 繰入金135,870135,870△135,870
6 地方債308,000160,900412,90070,000△90,900228,500△70,000
7 その他874,785311,4393,679,0382,147,9101,836,4711,461,101244,154△1,903,756
歳入計5,269,8723,558,0468,204,3255,309,3281,751,2826,404,1033,922,274△1,387,054
歳出歳出額一般財源歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 人件費1,962,2371,827,8782,157,7521,794,302△33,5761,934,4381,676,913△117,389
2 物件費442,461308,385411,103276,350△32,035415,519269,116△7,234
3 維持補修費80,86149,81362,34051,8302,01774,19059,0807,250
4 扶助費611,978136,742697,222159,25222,510730,531166,2066,954
5 建設事業費1,141 095523,2332,023,927547,44024,2071,472,058342,143△205,297
(1) 普通建設事業費888,985444,7951,864,167508,40063,6051,315,548306,353△202,047
(2) 災害復旧事業費149,15622,94674,7504,130△18,81671,500880△3,250
(3) 失業対策事業費102,95455,49285,01034,910△20,58285,01034,9100
6 公債費613,323604,6001,027,313996,238391,638741,637697,700△298,538
7 繰出金52,49252,492101,757101,75749,265110,667110,6678,910
8 その他1,110,365799,8434,154,4783,813,7263,013,8833,076,6302,752,016△1,061,710
歳出計6,014,8124,302,98610,635,8927,740,8953,437,9098,555,6706,073,841△1,667,054
歳入歳出差引額 (A)△744,940△744,940△2,431,567△2,431,567△1,686,627△2,151,567△2,151,567280,000
翌年度へ繰り越すべき財源 (B)1,586,6271,586,627
実質収支額 (A)-(B) (C)△2,331,567△2,331,567△2,431,567△2,431,567△1,686,627△2,151,567△2,151,567280,000

年度
区分
78年度
(第3年度)
79年度
(第4年度)
80年度
(第5年度)
歳入歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 税収入3,612,5003,612,500116,8003,612,5003,612,50003,612,5003,612,5000
2 地方譲与税92,20092,200092,20092,200092,20092,2000
3 地方交付税86,00086,000086,00086,000086,00086,0000
4 国県支出金1,065,4794,22001,065,4794,22001,065,4794,2200
5 繰入金
6 地方債228,500138,500138,500
7 その他603,018113,938△130,216757,529158,57144,633738,90987,190△71,381
歳入計5,687,6973,908,858△13,4165,752,2083,953,49144,6335,733,5883,882,110△71,381
歳出歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 人件費1,881,5741,621,881△55,0321,816,5361,646,84324,9621,791,1041,621,411△25,432
2 物件費416,054272,0132,897416,054272,0130416,054272,0130
3 維持補修費74,19059,080074,19059,080074,19059,0800
4 扶助費765,631173,5697,363765,631173,5690765,631173,5690
5 建設事業費661,543261,828△80,315723,506213,913△47,915798,388236,03422,121
(1) 普通建設事業費505,033226,038△80,315566,996178,123△47,915641,878200,24422,121
(2) 災害復旧事業費71,500880071,500880071,5008800
(3) 失業対策事業費85,01034,910085,01034,910085,01034,9100
6 公債費801,185757,24859,548835,214791,27734,029686,418642,481△148,796
7 繰出金151,156151,15640,489156,713156,7135,557187,439187,43930,726
8 その他2,807,9312,483,650△268,3662,525,9312,201,650△282,0002,215,9311,891,650△310,000
歳出計7,559,2645,780,425△293,4167,313,7755,515,058△265,3676,935,1555,083,677△431,381
歳入歳出差引額 (A)△1,871,567△1,871,567280,000△1,561,567△1,561,567310,000△1,201,567△1,201,567360,000
翌年度へ繰り越すべき財源 (B)
実質収支額 (A)-(B)(C)△1,871,567△1,871,567280,000△1,561,567△1,561,567310,000△1,201,567△1,201,567360,000

年度
区分
81年度
(第6年度)
82年度
(第7年度)
83年度
(第8年度)
歳入歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳入額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 税収入3,612,5003,612,50003,612,5003,612,50003,612,5003,612,5000
2 地方譲与税92,20092,200092,20092,200092,20092,2000
3 地方交付税86,00086,000086,00086,000086,00086,0000
4 国県支出金1,065,4794,22001,065,4794,22001,065,4794,2200
5 繰入金
6 地方債308,500138,500138,500
7 その他775,38578,720△8,470765,21974,820△3,900758,95274,8200
歳入計5,940,0643,873,640△8,4705,759,8983,869,740△3,9005,753,6313,869,7400
歳出歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額歳出額一般財源一般財源の前年度対比増減額
1 人件費1,926,5941,586,901△34,5101,783,8641,614,17127,2701,845,6951,676,00261,831
2 物件費416,054272,0130416,054272,0130416,054272,0130
3 維持補修費74,19059,080074,19059,080074,19059,0800
4 扶助費765,631173,5690765,631173,5690765,631173,5690
5 建設事業費854,252246,95210,918867,192266,15819,2061,013,229418,462152,304
(1) 普通建設事業費697,742211,16210,918710,682230,36819,206856,719382,672152,304
(2) 災害復旧事業費71,500880071,500880071,5008800
(3) 失業対策事業費85,01034,910085,01034,910085,01034,9100
6 公債費649,346605,409△37,072566,812522,875△82,534486,636442,699△80,176
7 繰出金189,633189,6332,194181,791181,791△7,842156,265156,265△25,526
8 その他1,855,9311,531,650△360,0001,445,9311,121,650△410,000995,931671,650△450,000
歳出計6,731,6314,665,207△418,4706,101,4654,211,307△453,9005,753,6313,869,740△341,567
歳入歳出差引額 (A)△791,567△791,567410,000△341,567△341,567450,00000341,567
翌年度へ繰り越すべき財源 (B)
実質収支額 (A)-(B)(C)△791,567△791,567410,000△341,567△341,567450,00000341,567