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財政再建の達成と財政構造の改善

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 市の財政再建は市民の協力のもとに、当初計画以上に赤字解消が進み、さらに電源交付金等計画外の財源にも恵まれて、教育、福祉施設等(表14)の充実も図られ、藤田市長の公約はほぼ達成されて任期満了となった。
表14 財政再建期間中に建設した主な事業
年度建設事業名事業費
千円
1976あおば保育園建設57,243
1978下松小学校増改築339,844
総合福祉センター建設145,200
花岡公民館建設(電源)133,283
1979花岡小学校増改築270,446
中村小学校増改築411,800
公集小学校増改築201,865
久保公民館建設(電源)210,286
市立図書館建設(電源)333,101

恋ケ浜緩衝緑地事業
(公害防止事業団)
3,766,600

 藤田市長は財政再建の完遂と固定資産税など市民の超過負担の解消が自分の責務であるとして、一九八〇年四月執行の市長選挙に再度立候補した。選挙では「創意でとりくむ財政再建、心の通う市民の福祉、ともに築く住みよい郷土」を信条とし、これを達成するための一二項目の公約を揚げて運動し、市民の理解を得て圧勝した。
 前述のように中国電力三号機が増設され運転を開始したので、固定資産税(償却資産税八〇年度七億円、八一年度六億円、八二年度五億円)の大幅増収が確定した。また八〇年度には、法人市民税も計画外に三億円の増収となり、赤字の解消(表15)が進捗したので、再建期間を短縮し、あわせてつぎのような財政構造の改善を行って、財政再建後の下松市財政の健全化を図ることとした。
表15 赤字の解消
(単位:千円)
           年度
区分       
197677787980818283
赤字解消計画額
(当初)
△100,000280,000280,000310,000360,000410,000450,000341,5672,331,567
赤字解消額39,724338,069404,616328,852712,356430,16777,7832,331,567
年度末赤字残額2,291,8431,953,7741,549,1581,220,306507,95077,7830
(1) 財政再建期間は、上記のとおり当初83年度までの8カ年間としていたが、再建期間中において計画額以上の収入増等により1年短縮して82年度までの7年間に変更した。
(2) 80年度の赤字解消額が多額となっているのは、中国電力の3号機増設に伴う固定資産税の増および法人市民税の大幅増収があったことによるものである。

  財政構造改善措置
(一) 積立金の設置(八二年度末現在高) 財政調整基金として三億七一四〇万円、教育施設建設積立金一億〇六二五万円、環境整備積立金(緩衝緑地事業に充当)一億六六〇三万円、市庁舎建設積立金一七億二九二二万円、林野整備事業積立金(末武川ダム用地売却代金)七〇三八万円、久保団地関連施設整備積立金一億三三八六万円、合計二五億七七一四万円。
(二) 長期借入金の繰上償還 後年度の財政負担の軽減を図るため、七七年度から八一年まで毎年公債費の予算不用額の範囲内で長期債の繰上償還(四億二八七一万円)を行った。その結果公債費比率は表16のように低下した。
表16 公債費比率
   年度
区分  
197576777879808182
公備費比率12.911.712.210.77.86.25.26.0

(三) 繰出金 下水道会計は地方債の残高が三五億円を超え、将来市財政に巨額の負担となるため、一般会計から七億一九七六万円の繰出し措置を行い、会計を健全化した。また国民健康保険会計に対しても、老人医療高額療養費波及分を一般会計から総額七六二〇万円繰出し健全財政の維持に努めた。
 かくて財政構造は大きく改善され、経常収支比率(経常一般財源収入に対する経常費の支出割合)は表17のように、財政再建当初の一〇八パーセントから六三・七パーセントと著しく向上し、財政構造に弾力性が確保され、当初の財政再建八カ年計画を一年短縮して八三年三月末をもって完了した。
表17 経常収支比率
経常収支比率の推移はつぎのとおり。
   年度
区分  
197576777879808182
人件費59.554.040.542.741.434.740.034.1
物件費10.88.97.69.49.79.010.610.1
維持補修費1.81.32.41.11.51.21.20.8
扶助費4.94.94.25.15.25.15.65.3
補助費等10.711.47.79.08.37.68.47.0
公債費20.516.113.713.410.37.37.46.3
108.296.676.180.776.564.973.263.7