ビューア該当ページ

新市庁舎の建設と河村市政

884 ~ 887 / 1124ページ
 一九五〇年に完成した市庁舎が、市行政の進展によって狭隘となり、そのうえ白蟻被害で危険となったため、七一年新庁舎建設のために市庁舎北側水田約一万平方メートルを買収、造成し、現庁舎用地と合わせて、市庁舎用地を一万八五二六平方メートルとした。翌七二年市が新市庁舎の建設計画に入ると同時に市議会に新市庁舎建設特別委員会を設置し、両者が一体となって計画の協議、推進を図った。
 しかし、七三年の石油ショックに端を発した物価騰貴、建設費の高騰、さらに市財政の窮迫により、建設計画は保留されることとなった。このため市役所はプレハブ三棟を建設するとともに、危険な老朽庁舎に鉄骨で補強工事を施し、急場をしのぐこととした。その後、市財政はますます悪化し、準用財政再建団体の指定を受け、財政再建が当面の最重要課題となり、市庁舎建設計画は財源の見通しがつくまで延期することとした。
 ところが七九年度から法人市民税や固定資産税の大幅な増収に恵まれ、再建計画を上回る歳入があり、市庁舎建設財源として積み立てを始めた。八二年度には積み立て金額は一七億円に達した。
 一方、市庁舎は建設計画以来一〇カ年が経過し、老朽化が進み危険建物となった。そこで市は財政再建完了目前の八二年六月市議会にはかり、新市庁舎建設の基本構想をたてた。その大要はつぎのとおりである。
 庁舎は市民サービス・事務能率の向上と、行政需要に対応できるものとし、下松市の都市像にふさわしく、切戸川河川公園と環境調和をとり、シビックセンターの中心施設として、市民が親しみと誇りを感じる風格ある造形とする。その建物規模は九五年の人口を六万七〇〇〇人、職員数を四〇〇人と想定して、建築面積延べ約八九〇〇平方メートル、五階建てとする。それに必要な建設費は、庁舎二〇億円、外部施設一〇億円を予定し、八三年に着工し、八六年三月に完成するという計画である。
 この基本構想に基づき、建設計画を進め、財政再建が完了した翌八三年十二月着工した。
 市庁舎建設工事が順調に進捗中の八四年四月、藤田市長は任期満了により退職した。二期八年間の在職中、前述の財政再建を達成するとともに財政構造を改善し、そのうえ福祉・教育施設の充実に努め、行政水準の維持・向上を図ったことは特筆すべきことである。
 同年四月の市長選挙には、河村憐次県会議員(五期目一七年在任)が途中辞任して立候補し、教育・文化の振興、経済の活性化、福祉・健康の確保、生活環境の整備を公約して優勢に選挙運動を進め、県議時代の活躍も高く評価され、初当選を果たした。河村市長は助役に県職員宮本義則を任命し、河村市政が発足した。
 新市庁舎建設工事は、新市長のもとに、当初計画どおり順調に進捗して、鉄筋コンクリート五階建ての簡潔で風格のある、下松市民のシンボルにふさわしい容姿で、八五年六月完成し、七月十二日落成式を挙行、新市庁舎を披露した。つづいて旧庁舎を解体し、跡地に車庫、倉庫、職員厚生会館、多目的広場、植栽工事等をつぎつぎに完成させ、八六年三月末、市庁舎建設事業が完了した。総事業費は三一億三三五〇万円(積立金一九億五三六〇万円、市債九億〇三八〇万円、水道局庁舎二億六五五八万円、一般財源一〇五二万円)、建物の概要は図2のとおりである。

図2 建物概要

建物名称本 館車庫  倉庫職員厚生会館水道局
構造SRC-5FRC-1B・S-2FRC-2FRC-3F
建築面積3,379.51m2431.68m2420.66m2505.85m2
延べ面積8,897.36m21,802.25m2761.42m21,379.54m2
(議会部門)(1,744.99m2)
階別面積1F-2,781.72m21B-1,168.96m21F-374.51m21F-472.53m2
2F-2,429.49m21F- 351.25m22F-379.41m22F-456.30m2
3F-1,363.46m22F- 282.04m2R-  7.50m23F-450.71m2
4F-1,054.74m2
5F-1,054.74m2
R-  213.21m2