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水道事業の開始

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 下松市は戦時中、国の命令で中断していた温見ダムの建設を再開して、水源を確保し、その利用事業として上水道の設置を計画していた。おりしも、工業の躍進による人口増加は、低湿地の下松市街地における衛生事情を悪化させ、再三県衛生部、徳山保健所から水道施設の設置について要請・督促を受けていた。
 この対策として、石井市長は戦後の乏しい市財政の中で計画の実施を急きょ繰り上げ、上水道設置を決意し、一九五〇年八月から建設、厚生両省と協議に入り、設置計画の立案、財源確保の指導、設計技師等スタッフの紹介を得て、一挙に水道敷設計画(表21)を推進した。同年十一月市議会が上水道設置議案を可決したので、国の認可を得て事業を開始した。翌五一年一月、大海町竹屋川左岸沿いに、水量豊富で水質良好な伏流水の発掘に成功し、水源地と水道管布設工事を突貫工事で施工し、八月大海町第一水源地を完成され、九月から一〇二五世帯に上水道の給水を開始した。しかし、これは暫定的なもので、市の水道計画では温見ダムの建設とその受水によって近代的な浄水場を建設して、給水人口四万人、給水量一日八〇〇〇立方メートルと工業用水二万立方メートルを給水するとしていた。
表21 上水道敷設計画
1 上水道工事
 
3カ年継続事業
工費 6,300万円
2 給水区域下松市一円(当初東西豊井、末武下)
3 給水人口2万人(大企業分は除く)
4 給水量4,000m3/日
5 水源伏流水(末武川左岸を仮定)
6 配水管本管  6,799m
支管  5,683m
合計 12,482m
配水管は将来温見ダムが完成した場合の配水計画に適合したものとする。