一九八八年四月の任期満了による市長選挙に、河村市長は再選を果たし、助役に市水道局長橋本清之を任命し、二期目の河村市政がスタートした。
しかし、社会経済環境の変化は非常に大きく、高齢化社会への急速な移行や技術革新の進展、高度情報社会の現実化、人々の価値観の多様化といった国全体の大きな流れが下松市にも例外なく押し寄せ、地方行政としても従来予想した以上に新しい対応が求められるようになった。さらに、長期間、臨海工業都市として発展してきた下松市の経済の大きな柱である鉄鋼、機械、石油、造船などの産業が、近年の国際経済関係の変化や日本の産業構造の転換の中にあって、その業績の不振を余儀なくされ、相次ぐ企業の雇用調整等により、市の経済面だけでなく、社会構造や市民生活など、あらゆる面に深刻な影響を及ぼすに至った。このような情勢変化は、下松市の存立基盤にかかわる基本的問題を含んでおり、今後の諸情勢の動向を見極め、産業経済や市民社会をどのような方向に導いて行くかが最重要課題となった。
そこで市は、諸般の情勢変化に混乱をきたすことなく、市勢の発展と市民福祉の向上を確保するために、八八年三月これまでの基本構想の見直しを行い、下松市総合計画を策定し、『新しい産業と美しい自然、出合い・ふれあいのまち下松』を二十一世紀へ向かって目指す都市像とした。この総合計画は未来都市像を着実に実現するための誘導策として、つぎの六つの主要戦略テーマを設け、さらに各分野における施策の大綱を定めている。
未来像へ導く主要戦略テーマとして、①新たな高度産業コンプレックスの形成(下松テクノランド構想)、②魅力ある下松の「顔」と個性づくり(下松シンボルゾーン構想)、③笠戸島、笠戸湾の余暇空間への積極活用(笠戸リゾート開発構想)、④自然、農林資源活用による山間地の活性化(周南自由時間の森構想)、⑤明日を担う人づくりとまちづくりの輪の形成(新下松知恵の輪構想)、⑥多様な人々の出合と交流の拡大(下松イベント交流都市構想)をあげ、
施策の大綱に、①未来に向かうまちの基盤を築く構想、②安全で快適なまちを築く構想、③健康で心温まるまちを築く構想、④豊かな心と文化の息づくまちを築く構想、⑤魅力と活力に満ちたまちを築く構想、⑥効率良く開かれたまちを築く構想、を立案した。
下松市は新総合計画のもと、いまや国・県の施策に対応しながら、新しい都市づくりを目指し、市民、民間、市行政が一体となり、二十一世紀へ向かっての都市像実現に邁進しようとしている。
市制施行以来、八八年四月現在に至るまでの市長、市議会議長の氏名、在職期間は表30・表31のとおりである。
表30 歴代市長 |
代数 | 氏 名 | 就 任 年月日 | 退 任 年月日 | 備 考 | |
1 | 弘中 伝人 | 1939.12.22 | 1943.12.21 | 1期 | 市議会選出 |
2 | 田岡 勝太郎 | 43.12.24 | 46. 3.18 | 1期 | 任命制 (内務大臣) 復活 公職追放による退職 |
3 | 武居 謙助 | 46. 8.10 | 47. 2.28 | 1期 | 地方自治法改正 (任命制から公選制に移行) |
4 | 石井 成就 | 47. 4.15 | 51. 4. 3 | 1期 | 公選 |
51. 4.23 | 55. 3.31 | 2期 | |||
55. 5. 1 | 59. 4.29 | 3期 | |||
5 | 河口 登 | 59. 4.30 | 63. 4.20 | 1期 | |
63. 4.30 | 64. 4.22 | 2期 | 病死 | ||
6 | 山中 健三 | 64. 5.27 | 68. 5. 6 | 1期 | |
68. 5.17 | 72. 5.15 | 2期 | |||
72. 5.16 | 76. 4.13 | 3期 | |||
7 | 藤田 徳一 | 76. 4.26 | 80. 5.24 | 1期 | |
80. 4.25 | 84. 4.24 | 2期 | |||
8 | 河村 隣次 | 84. 4.25 | 88. 4.24 | 1期 | |
88. 4.25 | 現在 | 2期 |
表31 歴代市議会議長 |
代数 | 氏 名 | 就 任 年月日 | 退 任 年月日 |
1 | 岩本亀三 | 1939.12.20 | 1947. 4.29 |
2 | 武居允 | 47. 5.12 | 49. 5.25 |
3 | 藤田準一 | 49. 5.25 | 52. 5.28 |
4 | 武居謙助 | 52. 5.28 | 54. 4.19 |
5 | 河村八郎 | 54. 4.27 | 56. 8.22 |
6 | 中嶋正雄 | 56. 8.22 | 65. 4.22 |
7 | 松本平作 | 65. 4.20 | 66. 4.19 |
8 | 官田尚志 | 66. 4.20 | 69. 4.19 |
9 | 林谷育造 | 69. 4.19 | 70. 4.19 |
10 | 国居一 | 70. 4.20 | 84. 4.19 |
11 | 河村工 | 84. 4.19 | 88. 4.20 |
12 | 弘中佑児 | 88. 4.20 | 現 在 |