下松市は同年六月結成された下松市安全会議を通じ、市民に交通安全思想の普及・啓蒙を行い、下松警察署は交通取締・安全教育・指導を重点施策とした。また、交通安全施設の整備を急ぐこととなり、六三年一月、下松病院前交差点に第一号の交通信号機を的置し、以後毎年主要交差点から信号機の設置を進め、現在では七〇基の設置となっている。横断歩道橋も六七年三月中村小学校通学路(国道二号)に設置されて以来、現在は一〇橋に及んでいる。また道路の改良・舗装、主要街路の歩車道整備も進み、ガードレールの設置、街灯、道路標識もしだいに完備した。
六〇年代後半に入るとモータリゼーション時代を迎え、交通安全運動を強力に推進するため、市民安全の日(毎月一日、十日、二十日)を定め、市幹部職員、諸団体関係者、学校教職員、企業関係者などが警察官とともに、早朝主要交差点に立ち、交通安全の徹底を図ることとした。
また、市民の交通安全意識の啓発を目的として、六七年四月市民交通障害保険制度を発足させた。この保険制度は損保方式で、市民が市役所に年額三六〇円(一日一円)を納める任意加入制で、市は損害保険協会に委託する方法をとった。被災者への見舞金は、最高一〇〇万円から一万円までで、当初の加入率は五〇パーセントであったが漸減傾向をみせている。
七〇年代を迎えて自動車はますます増加して、交通事故も激増し、交通戦争と言われるようになった。市は条例で交通安全対策会議を設置し、また交通安全指導推進委員(一〇名)を任命して、通学路を定め、学童の登下校の安全を期することとした。市には交通安全係を設け、パトロール車を配置して、市民に交通安全意識を喚起するとともに、交通安全施設の点検にあたった。
このように、交通安全対策に努めた結果、人身事故、特に死亡事故は、表19のように漸減することとなった。なお八七年、市内の自動車保有台数は四輪車二万八六八台、二輪車(バイクを含む)八九四六台となっている。
表19 道路交通事故の状況 |
(単位:件・人) |
年 次 | 事故件数 | 人 身 事 故 | 物的損害事故 | ||||
件数 | 計 | 死亡者 | 重傷者 | 軽傷者 | |||
1960年 | 167 | - | 159 | 8 | 32 | 119 | - |
61 | 262 | - | 230 | 24 | 43 | 163 | - |
62 | 269 | - | 224 | 8 | 34 | 182 | - |
65 | 182 | - | 203 | 12 | 53 | 138 | - |
67 | 412 | - | 394 | 12 | 56 | 326 | - |
70 | 964 | - | 588 | 13 | 55 | 520 | - |
72 | 847 | 326 | 453 | 5 | 59 | 389 | 521 |
74 | 919 | 166 | 214 | 9 | 37 | 168 | 753 |
78 | 815 | 270 | 315 | 3 | 19 | 293 | 545 |
80 | 812 | 216 | 258 | 1 | 31 | 226 | 596 |
81 | 1,012 | 265 | 326 | 4 | 27 | 295 | 717 |
82 | 1,058 | 264 | 293 | 1 | 38 | 255 | 794 |
83 | 1,044 | 250 | 310 | 4 | 37 | 269 | 794 |