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差別のない社会を目指して

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 下松市の同和対策事業の推進に当たっては、すべての地区住民が健康で文化的な生活を営むために必要な、物心両面にわたる総合的な施策が必要であるが、初期においては、まず劣悪な生活環境を改善することを緊急課題とし、五七年から六〇年度まで、地方改善事業による公民館、児童遊園の建設や上水道、下排水路の整備に着手した。
 引続き六一年度から六八年度までは、同和対策モデル地区の指定によって、道路、下排水路等の生活基盤の整備を強力に推進し、環境の改善を図った。その一方で経済、教育、社会福祉等の施策にも力を注ぎ、保育園、隣保館、公営住宅の建設を行うとともに、文化活動を通じて周辺地域との交流を図るため、子供会、婦人会、青年団等地区内組織の育成を行った。
 国においては、六五年八月同和対策審議会からの「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」の答申に基づき、六九年七月「同和対策事業特別措置法」が、一〇年間の時限立法として制定され、同和問題解決に向けて本格的な取組みが行われることとなった。下松市では、十カ年計画を立案するため、各関係機関、地元自治会役員等による協議会を組織し、これまで進めてきた事業計画の見直しを行い、あわせて新たな視点に立った総合的な長期計画を策定した。
 すなわち、地区内ならびに周辺との一帯性を考慮した道路、下排水路等の整備や公営住宅、駐車場、公園等の建設、地域での活動の拠点としての隣保館、児童館、老人集会所を包含した総合福祉センターの建設などを実現することである。さらに小学校、保育園等の近代化のための新増改築計画、地区住民の地位向上を目指した就職斡旋指導や援助、学力向上のための学習、進学指導と援助、保健対策などの事業、その他、地区住民の自立意欲の高揚を図る積極的な施策を進めることとした。この計画事業(事業費一六億七〇〇〇万円)は、社会情勢の変化による一部計画の見直しを行い、関係者の協力を得て推進し、法の期限である七九年度末には、環境整備面では、かなりの改善がなされた。
 しかし、全国的にまだ相当の事業が残ったため、同法を三年延長し、続いて八二年には、新たに「地域改善対策特別措置法」が五カ年間の時限立法として制定された。さらに八七年「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」が制定され、同和問題解決に向け、引続き事業が進められることとなった。
 この間、下松市においても残された整備事業の完工に向け、努力を傾注するとともに、個人施策事業をあわせて推進してきた。その結果対象地区の生活環境は大幅に改善され、一定の成果をあげることができた。
 しかし、本市が、八六年二月実施した市民意識調査の結果にもみられるように、まだ就職、結婚等における心理的差別は依然として解消されておらず、市民一人ひとりが、民主主義と人権意識に徹し、自分の心から、また周囲の人々の心から差別と偏見を取り除くことが不可欠の重要課題といえる。なお五七年度から今日まで、本市が行ってきた事業は表1のとおりである。
表1 環境改善対策事業実施状況
事業の種別事業量事業費
(千円)
年 度
1957

1969
地区道路新設改良11線幅 4m ~ 6m 延長 5,383m70,48057~59
幹線街路新設1線幅 12m (香力大通)14,70061 ~ 64
排水路新設改良延長 4,315m7,83552 ~ 64
公営住宅建設10戸7,12563
保育園新設敷地 300坪 建坪 124坪7,35761
隣保館新設敷地 300 坪 建坪 79坪5,67862
児童遊園敷地 300坪1,42057 ~ 64
その他 34,28557 ~ 69
 148,880 




1969


1986
地区道路新設改良19線幅 4m ~ 6m 延長 4,580m709,20169 ~ 86
舗装事業延長 5,396m46,99969 ~ 76
幹線街路1線幅 12m (香力大通) 50,76470 ~ 76
排水路新設改良延長 3,256m35,17169 ~ 84
下水道整備φ200mm ~ 250mm 延長 11,164m940,90084 ~ 86
上水道整備φ50mm ~ 200mm 延長 4,502m70,94971 ~ 84
学校整備 403,15078、79
保育所新設土地 1,000m2 建物 800m2135,92380
総合福祉センター建設土地 2,000m2188,632土地 74
建物 78
備品 79
公営住宅建設16戸54,87673
児童公園建設1,500m240,91478
その他 298,41769 ~ 85
 2,976,193