五一年六月に、文部省は「道徳教育のための手びき書要綱」を発表し、また七月、学習指導要領の改訂において、道徳教育の目的を明示して、その推進を指示した。
市内の各小・中学校も生活指導・道徳教育について熱心な研究を進めてきたが、下松第三中学校では五二年から、ホーム・ルーム(四九年、中学校の教育課程が改訂され、従来の自由研究の名称を廃し、ホーム・ルーム・生徒会・クラブ活動・生徒集会等を包含する特別教育活動に改められた)の時間に道徳教育を取り入れて、その徹底をはかることとし、「ホームルーム指導の基底」を作成し、また学習の資料として「中学生の生活読本」を編集、活用するなど、道徳教育の新たな開拓を試みた。また、下松小学校では五三年から「道徳的態度の形成を基調とする生活指導」を研究課題として取り組み、「道徳指導基準」の策定、「生活読本」の作成、「生活科」の特設を行って先進的な研究実践を続けてきた。
道徳時間の特設(五八年十月の学習指導要領の改正により、教育課程が、教科・道徳・特別教育活動・学校行事の四領域となる)を目前にひかえた五八年二月に、関西道徳教育研究会の要請に応じて、西日本道徳教育研究大会を下松小学校を主会場として開催した。あたかも道徳教育の在り方、道徳時間特設についての関心・論議が高まった時期でもあったので、県内外からの参加者は二〇〇〇名を超え、熱気ある研究大会となった。これを契機としてその後も市内全小・中学校一体となって、道徳指導計画の改善、指導の深化について不断の研究と実践が進められている。
道徳教育研究協議大会
一方、戦中戦後において低下した児童生徒の健康や体力の回復・向上は重要な課題であり、本市教育研究所は五六年に「小・中学校の保健体育実態調査と能力表」を作成して各学校に配布し、健康・体力づくりに積極的な取り組みを要請した。
市教育委員会においては市長の積極的な支援のもとに、六〇年以来学校プール、体育館の建設、学校給食室の改善を積極的に推進した。またこのころから児童生徒の近視がしだいに増加し、やがて県・国の平均を上まわる状勢になったので、その対策として六七年全児童生徒の机・腰かけを一斉に更新して規格を是正し、あわせて教室の照明設備・黒板等を改善するとともに、姿勢の矯正運動・近視予防運動を推進した。この年五月下松市学校保健会が発足した。
各学校においては、体育指導・保健活動・学校給食・環境衛生等の向上に熱心に取りくみ、その成果として、県や文部省の健康優良学校賞・健康優良児童生徒表彰・学校給食優良校表彰等を数多く受賞した。とりわけ豊井小学校は業績顕著なものがあり、六三年から六八年にわたって連続して県健康優良学校第一位に選ばれ、さらに六八年十一月には、日本一健康優良学校賞と学校保健特選の輝かしい全国表彰を受賞した。