本市は、豊かな自然風土に恵まれ、遠く縄文・弥生の時代から、人びとの生活舞台となり、古くから、文化の栄えた、歴史と伝統のある街であります。
　近年、物の豊かさを背景とした、都市化の進展する中で、とかく見失われかける精神文化、地域社会における郷土愛や、連帯意識の回復が、強調されてまいりました。このたび関係者の御配意・御協力のおかげで「下松市の民話・伝説と民謡」を、発刊することのできますことは、まことに意義深く、よろこびに堪えません。
　「民話・民謡」は、生活の中にはぐくまれ、伝承された文学でありまして、私たちの心のふるさとであり、貴重な文化遺産であります。この冊子を、愛読されることにより、先人との心のふれ合いを深め、ふるさと「下松のこころ」にふれることができると思います。
　郷土の伝統文化を、ふりかえることにより、市制施行四十周年を迎えた、本市の明日の香り高い郷土文化創造・発展の糧ともなれば、幸せであります。
　終わりに、調査に御協力いただいた、市民の皆様をはじめ、調査委員の方がた、また、御指導いただいた本市文化財審議委員の方がたに、深甚な謝意を表する次第であります。
　　　昭和五十五年三月一日
　　　　　　　　　　　　　下松市教育委員会教育長　　　　　　清木幹丈