37 白雲の滝(しらくものたき)=五郎淵(ごろんぶち)(くも淵(くもぶち)) (米川地区)

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 むかし、むかし、五郎という木こりがおりました。それはそれは、立派な働き者のきこりでした。その五郎がある夏の暑い日中に、仕事につかれてちょっと昼寝をしようとしました。大きな木が茂っていて、近くには滝があり、清流の谷あいの涼しそうなところをえらびました。夏の日ざかりではあるし、疲れも出ていて、涼しい場所なので、つい気持ちよく、ぐっすりとふかいふかい眠りにおちてしまいました。
 あまり、ぐっすりと眠ってしまったので、いつの間にかくもがやってきて、五郎の足から、身体にかけて、ぐるぐるとくものいとをまきつけてしまいました。そのために、五郎は目がさめて起きようとしましたが、くものいとのために動くことができなくなりました。これは大変だと思い、何とかしてくものいとを破り動こうとしましたが、だんだんとずれて、とうとう滝の中へころがり落ちてしまいました。
 くものいとで手や足が自由に動かなくなった五郎は、とうとう淵深くへ沈んでしまい、はい上ることもできずに死んでしまったのです。かわいそうな五郎きこりでした。そこで里人は、五郎をあわれんで、この淵を「五郎淵」(ごろんぶち)とも、「くも淵」とも呼ぶことにしました。またこの淵に落ちこむ滝を、白くもの滝と呼んでおります。
 この滝は、雨乞いでも有名です。ながいながい日照りが続いて、水が足りなくなると、この近くの人々は、総出で、淵の水を汲み出して滝つぼをからっぽにし、その滝つぼで火を盛んにたいて、煙をどんどん出すと、かならず雨が降り出したといい伝えられております。また、この淵の深さは、滝の高さと同じほどであったといい伝えられております。