3 臼碾き唄(うすひきうた)

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○ 何度ひいても はたごの籾(もみ)は 辛抱(しんぼう)尽さにゃ みてはせぬ
  これの背戸にゃ 千咲くつつじ 花は千咲く 根は一つ
  あなたみたよな 牡丹(ぼたん)の花が 咲いております くる道に
  これのお背戸に 二また榎(えのき) えの実ならずに 金がなる
  臼をひくには ひきよがござる 腕をすかしたら ひきやすい
  臼はひきよう 廻しようで軽い 肩をゆりかけ ひきゃ軽い
  臼は縦歯(たてば)で 重い程にねたら 相手はわしゃ いやじゃいな
○ 思い出しては 泣く夜もござる さらに忘れた 夜もござる
  今年豊年 穂に穂がさいて 道の小草に 米がなる
  道の小草に 米がなるなれば 山の木茅にゃ 金がなる
  目出度目出度が 三つかさなれば 末は鶴亀 五葉の松
  五葉の松から 又何を出そか 昔瓢簞(ひょうたん)から駒が出た
  昔瓢簞から 駒が出たげな 今はかわりに 酒が出る
 ※ 籾(もみ)を、逆四角錐形で下に穴のあいたはたごという船に入れ、天井に吊(つる)し、籾を少しづつ、下の臼に落す。
  竹であんだ籠(かご)の中に、木の歯を組み入れ、赤土で固めた上下の臼を、長いかせで廻した。
  かせには、二三人とりついて、拍子をそろえて歌いながら、ゴイコゴイコと、夜鍋(よなべ)の仕事に籾をひいた。