5 餅つき唄(もちつきうた)

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○ (音頭)
  イーイイ ヤレヤレヤレヤレエ
   これが この家の  始めのよ サァ臼ぢゃよ
  (合唱)
   金の掛け留め  蔵開き ションガーエー
  (音頭)
   掛け留めよ  サァ金のよ
  (合唱)
   金の掛け留め  蔵開き ションガーエー
  山は 焼けても  山鳥ゃ 立たぬ
     子ほど 可愛いい  ものはない
  これがこの家の 仕舞の臼じゃ  臼を神楽(かぐら)と つき納めよ
  鶴と亀とが どう言うて遊ぶ  お家繁昌(はんじょう)と 言うて遊ぶ
  来るか来るかと 待たせておいて  どこにそれたか 夏の雨
  恋し小川の 鵜(う)の鳥よ見やれ  あいをくわえて 瀬をのぼる
  桜三月 あやめは五月  咲いて年をとる 梅の花
○ ヤレヤレヤレヤレヤレ
   何からやろうかよ  一人娘を 嫁にやろー
    娘を一人よ  一人娘を 嫁にやろー
                ションガーエー エコモエアー エコモエアー
                     (囃子(はやし)以下略)
  しょんがばいさは 焼餅好きでよ  夕べ九つ 今朝七つ
  夕べ九つは 食いすぎもせんが  今朝の七つは 食いすぎた
  しょんがばいさは 煮た餅きらい  焼いて焦(こ)がして 砂糖つけて
  これの大将は 団子(だんご)か餅かよ  餅は餅じゃが 金持ちじゃ
 関の地蔵さんに 長袖(ながそで)着せてよ  奈良の大佛に 嫁に行く
  旦那(だんな)大黒 おかみさんは恵比須(えびす)  一人おる子が 福の神
  これの旦那は 虱(しらみ)か蚤(のみ)かよ  蚤は蚤だが 酒呑みだ
  お釈迦さま(おしゃかさま)でも 博打(ばくち)に負けてよ  四月八日には まる裸よ
  山の鳥には いろいろあるがよ  雉(きじ)のめんどりゃ おなごどり
  めでためでたが 三つ重なればよ  庭にゃ鶴亀 五葉の松
  これのおもては 祝のおもてよ  鶴と亀とが 舞を舞う
  祝いめでたの 若松さまがよ  枝が栄えて 葉も茂る
  枝が栄えりゃ お庭が暗いよ  暗きゃおろしゃれ 一の枝
  一の枝よりゃ 二の枝よりもよ  三の小枝が 陰をなす
  三の小枝が 陰なすなればよ  末は鶴亀 五葉の松
餅つき唄
 
※ 年の瀬ともなると、家々を賃づきをして歩く餅つきさんがみられた。
  かど(門)や、軒下、時には道路に臼を置いた。移動釜に湯をたぎらせ、その上に(注)甑(こしき)を数段重ねて蒸した餅米をこの臼に入れて、三人か六人で三組になり、なんじょう(杵)で、ペッタン、ペッタン、ペッタンと拍子よく三拍子でついた。
 この餅つきに歌われた唄は、お正月を祝う鏡餅や雑煮(ぞうに)餅にする小餅もつくので祝い唄の文句が多く歌われた。
   (注) 甑(こしき)=米などを蒸し炊く器。方形と円形があり、円形のものは、底に細い穴があり、方形のものは、竹の簀を敷いて蒸気を通す。