○ ねんねこ山の 雉子(きじ)の子 なーして鷹(たか)に とーられた
いだるさーに とられた ネンネコヤーネンネコヤー
ネンネコヤー ネンネコヤ 寝たら餡餅(あんもち) 搗いちゃるぞ
起きたらやいとう すえちゃるぞ ネンネコヤー ネンネコヤー
ネンネンヨー ネンネンヨー 寝たらおかかに つれていく
起きたらごんごに おぶらせる ネンネンヨー ネンネンヨー
○ ネンネコヨ ネンネコヨ ネンネのお守りは どこえいった
あの山越えて 里にいった
里の土産に 何もろた でんでん太鼓に しょうの笛
おきあがり法師に ちんはりこ
○ お月さまなんぼ 十三九つ それにしちゃ若いぞ 若い年はぞうり
ぞうりの道で赤一つ拾うた これは誰にだかしょうか おまんにだかそ
おまんのちちは おおきゅて 丸うて ちょど寺の(注)天目(てんもく)よ
○ れんげの花は いつ咲くか 三月節句に咲きわたる 親もないか子もないか
ててごにはなれて今日七日 七日の仕上げをしようと思って おばさんかたえ
帷子(かたびら)一まいかりにいた あるものないちゅうておかしやらん
やれやれ腹たつこ腹たつ
○ 背戸の木小屋に機(はた)たてて 今日も一反きりおろす 明日も一反きりおろす
三日に三反きりおろす 色はどのように染めようかと 浅黄(あさぎ)に駒形(こまがた)紅鹿(べにか)の子
どこの紺屋(こんや)にもていこうか むらの紺屋にもていったら
藍(あい)が出ぬちゅうて 受けとらぬ 殿様紺屋にもていったら
藍が出るちゅうて受けとった やれやれ嬉しややれ嬉し
○ こどもとこどもが けんかして べんさんが言うていって
たかさんが くじくって 人さんが ことわって
なかなかきかれん この親が。
○ ちょち ちょう アーババ おつむ てんてん アーババ
※ 子守唄には、子どもを眠らせるための唄と、子守り女たちの学働の唄とがある。
また子どもを遊ばせる唄も、子守りをする唄であろう。
子守唄は、わらべ唄というよりも、一種の仕事唄の性質が強い。
一家の生計を助けるために、十才ぐらいで子守奉公に出た娘も多かった。つらい身の上を、雇われた家の赤ん坊を背負って、これをゆするリズムにのせて打ち明け訴える唄も多かったと思われる。わらべ唄から、大人の民謡への過渡期ともいえる唄である。
子守り娘は、頭の髪が、赤ん坊にかからないように、手拭い(てぬぐい)でうしろから鉢巻きをして赤ん坊を背負った。兄弟の数の多いのが普通であって、姉が弟妹の子守りをするのも、一家の仕事の中の役割りであった。
(注)天目(てんもく)=茶の湯に用いる抹茶茶碗(まっちゃぢゃわん)の一種。中国華東区浙江省抗州府臨安県の天目山の産。またこれを原形として造ったもの。浅くて開いた擂鉢形(すりばちがた)のもの