○ すもうに負けても 怪我(けが)さえしなけりゃ 晩にお山が 抱いて寝る
○ 角力甚句(すもうじんく)
・ ゆうべ大きな 夢を見た 荒神山(こうじんやま)へ 腰を掛け
あんまり咽(のど)が かわいたで 末武川へと 口をつけ
一口二口 三口半 えへんこつりと 咳したら
そこへ和田橋 飛んで出た
・ 春日桜(かすがざくら)や 多宝塔(たほうとう) 福徳稲荷大明神(ふくとくいなりだいみょうじん)
長岡外史の 口髭(くちひげ)も 東肥菊地延寿国綱(とうひきくちえんじゅくにつな)が
鍛えましたる 大太刀は これぞ自慢の 日本一
(明治中頃 花岡地方で)
・ ゆうべ夢を見たよ 大きな夢よ 奈良の大仏 背負いして
沖の千石 足にはき そのまた帆柱 杖につき
日向(ひゅうが)の山を 一またげ あんまり咽が かわくさに
沖の大海 飛込んで 一口二口三口半にと呑みほした
何やら咽に つまるさに エヘンオホン こつりしに
瀬田の唐橋 ノホホイエー 飛んで出たよ
・ ゆうべおかしかったよ 風呂屋の背戸で 先の殿御に 出逢いして
お前はまめなか 達者なか まめにあろうと あるまいと
去年の三月十五日 春日祭りの その晩に
かいまき一つで 追い出され その時ゃ私も つらかった
今では結構な 殿御あり お前さんのお世話にゃ
ノホホイエー なりはせぬよ
・ 田舎(いなか)育ちのよ 籔鴬(やぶうぐいす)が はじめてあずまに 下る時
一夜の宿を 見そこない 西に向いても 宿はなし
東に向いても 宿はなし 梅の木小枝を 宿となし
花のつぼみを 枕とし 月星眺めて
ノホホイエー ほけきょよんだよ