21 相撲唄(すもううた)

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○ すもうに負けても 怪我(けが)さえしなけりゃ  晩にお山が 抱いて寝る
○ 角力甚句(すもうじんく)
 ・ ゆうべ大きな 夢を見た  荒神山(こうじんやま)へ 腰を掛け
   あんまり咽(のど)が かわいたで 末武川へと 口をつけ
   一口二口 三口半  えへんこつりと 咳したら
       そこへ和田橋 飛んで出た
 ・ 春日桜(かすがざくら)や 多宝塔(たほうとう)  福徳稲荷大明神(ふくとくいなりだいみょうじん)
   長岡外史の 口髭(くちひげ)も  東肥菊地延寿国綱(とうひきくちえんじゅくにつな)が
   鍛えましたる 大太刀は  これぞ自慢の 日本一
               (明治中頃 花岡地方で)
 ・ ゆうべ夢を見たよ 大きな夢よ  奈良の大仏 背負いして
   沖の千石 足にはき  そのまた帆柱 杖につき
   日向(ひゅうが)の山を 一またげ  あんまり咽が かわくさに
   沖の大海 飛込んで  一口二口三口半にと呑みほした
   何やら咽に つまるさに エヘンオホン こつりしに
   瀬田の唐橋 ノホホイエー 飛んで出たよ
 ・ ゆうべおかしかったよ 風呂屋の背戸で 先の殿御に 出逢いして
   お前はまめなか 達者なか まめにあろうと あるまいと
   去年の三月十五日 春日祭りの その晩に
   かいまき一つで 追い出され その時ゃ私も つらかった
   今では結構な 殿御あり お前さんのお世話にゃ
         ノホホイエー なりはせぬよ
 ・ 田舎(いなか)育ちのよ 籔鴬(やぶうぐいす)が はじめてあずまに 下る時
   一夜の宿を 見そこない 西に向いても 宿はなし
   東に向いても 宿はなし 梅の木小枝を 宿となし
   花のつぼみを 枕とし 月星眺めて
         ノホホイエー ほけきょよんだよ