本市民俗資料収集事業の一環として「下松市の民話・伝説と民謡」「下松市の石造文化財・祈りと生活」に続いて、「下松市の風俗と生活」を発刊することになりました。
私たちの祖先は、山野を開き農耕を営み、信仰によって安住の地を求め、豊穣を祈り、生活を守って経済を豊かにし、文化を高めながら郷土の発展向上に寄与して参りました。
年中行事は、つねに素朴な農耕生活や信仰とかかわって、長く継承保存されてきたものであります。本誌には、市内で古くから行われる行事七十二点を収録してあります。
一九八〇年代は、地方の時代、文化の時代といわれていますが、本誌によって、郷土下松市に古くから根をおろし、現存する伝統的な行事をとおして往時を偲び、都市化現象の進展する中で、郷土愛の高揚と地域連帯意識の啓培、市民文化創造の糧となれば幸甚に存じます。終わりに、調査、編集にあたられた下松市文化財審議委員の方がた、ならびに資料の御提供をいただいた市民の皆さまに、深く謝意を表する次第であります。
昭和五十七年三月一日
下松市教育委員会教育長 清木幹丈