7 年始まわり(ねんしまわり)

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 平常お世話になり、親しくつきあいしている家庭、近隣の家庭、勤務の上役の家庭に出向いて、新春を寿(ことほ)ぐとともに、昨年中の御愛顧(ごあいこ)を感謝し、新年も引続いて御指導をお願いする。なお、その際お節料理(せちりょうり)により「おかんし」のもてなしを受けることもある。これを年始まわりといっている。
 百匹(頭つきの魚、百尾という意で新春のめでたさを寿ぐもの、包は半紙を折って中に金子若干を入れ、上に百匹、氏名が記してある)か、賀正と書いた名刺を差し出し、年賀のしるしとした。
 玄関の上座(かみざ)に「百匹」や「名刺(めいし)」が整然と並べられて、初春らしい風情(ふぜい)をそえた。
 年始まわりも大変なので元日の所定の時間に、地方の有志、知名士が一同に会し、年頭の名刺交換会が、市町村、会議所等の主催で開かれ、これに変えられた。
 お年玉つき年賀状が発売され、年始まわりの姿も年々影をひそめてきた。