8 お年玉(としだま)

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 田舎に育った私たち、子供の頃の喜びの一つは、両親や、親戚(しんせき)からの新春のお祝いとしての、ささやかな贈りもののお年玉である。今は金銭が多いが、古くは殆(ほとん)どが品物であった、戦前の農山漁村の家庭では、お年玉をもらう子供は少なく、もらっても正月用の玩具や学用品等で、大変喜び、大切にしたものである。頂いた幼年雑誌の付録のすごろくで、数人がなごやかに遊んだものである。
 現在はいずれの家庭でも大変(たいへん)沢山(たくさん)の金銭が贈られ、貰う年令も大学生まで広げられ、金額も集計すると多い者は数万円にもなるとか、消費経済の進んだ社会とはいえ、自由になる金が幼い子供でも、数万円もあるというのは考えさせられる。