12 鏡開き(かがみびらき)

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 正月にお供えした「お鏡餅」を一月十一日に割って食べると、無病息災(そくさい)でおられるという。一般の家庭では姿を消しているが、武芸を習う道場、町家などにその名残(なご)りをとどめている。しかし、それも日時は早くなり、町家では六日頃、道場でも寒稽古(かんげいこ)の終了日に「しるこ」を炊き、餅を入れ食べている。稽古の慰労会のような感じがする。
 本来、神棚や帳場にお供えしたものをいただいていたが、現在はそれに新たなものを加えている。戦前、今日は「銀行の鏡開き」だといって、その福にあずかろうとして六日朝、出かけていた姿を思い出す。
 (資料) 鏡開き
 ○武家ニテハ具足祝ト申、町家ニテハ蔵ヒラキ、帳祝ト申、今日帳面ノ上書ヲ至シ祝フ
 ○神前ニ供シタル餅ヲ鏡餅ト云、夫ヲハヤシテ神々ニ上ゲ家内モ祝フ事
  ヒラクトハ切ル事、切ルト云ハ忌詞故ヒラクト云、大福帳ハ一人サイハイト云フ事大の字ハ一人ナリ、