慶安二年(一六四九)江戸幕府から出された、御触書(おふれがき)に次のような箇条が見られる。
春と秋には灸をすえて、病気をしないように心がけねばならない……………………と。
「二日灸」「やいとすえ」といって、お互いに灸をすえあったもので、「悪病災難にあわぬように」と唱えごとをし、ことに子供の「虫封じ(むしふうじ)」にはよくきくといわれ、一点必ずすえる習わしであった。この日は必ず子供に灸をすえたので、村中子供の泣き声がしたという。その他「彼岸灸」「土用灸」といって、春・秋のお彼岸や、夏の土用の日にも、灸をすえるとよく効(き)くともいわれ、今でも老人などすえる人が多い。