里の子供が集まり、藁で馬や人形等をつくり、夜分、家々の玄関に「トロトロ」と言ってつくったものを置いて、家の人に見られないように陰(かげ)にかくれていると、家人が出て、それを取り、かわりに餅をおいて中に入る。
子供は陰(かげ)から出て来て、家人に見られないように餅を持ち帰る。訪れる家を次々とかえ、これを繰り返し餅を集めると、子供たちは集まり、餅を焼いて口にしながら話し合う。現在のように子供が「お八つ」に恵まれていなかった頃の、子供たちにとっては、この餅は大切な「お八つ」であった。恵まれない子弟への福祉でもあった、この行事は、花岡・久保・米川等の、農山村で行われていたが、地域社会の発展、生活の向上にともない近年はその影をひそめている。