この日、花御堂(はなみどう)という、いろいろの花で飾った小堂を、境内にしつらえ、銅で出来た誕生仏を、浴仏盆という水盤(すいばん)の上に安置する。その上から参詣人が小さな竹のひしゃくで、甘茶をそそぐ。甘茶は、釈迦誕生の時、九つの竜が、天から吐き注(そそ)いで、産湯(うぶゆ)をつかわせたという伝説にもとづくもので、正式には五種の香水を用いるということである。昔は宮中でもこの日、清涼殿に灌仏台を立てて仏像を安置し、皇族・公卿(くげ)が参上し、仏を拝し五色の水を注いだという。
この行事を一名「花祭り」ともいい、参詣人はこの甘茶を、竹の筒(つつ)にいただいて帰り家族で飲んだり、甘茶ですった墨で虫よけの歌を書いて、逆(さか)さに壁にはり長虫(蛇)や、百足(むかで)が家の中に入ったり、かんだりしない呪(まじな)いをした。