28 みぞ掘(ほり)

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 灌漑(かんがい)用水を確保するため、河川や用水溝をさらえ、また、護岸を補強することは、農閑期冬・春の重要な仕事とされる。また、寛永十八年(一六四一)の掟(おきて)にも、万治の郡中制法(一六六〇年九月一四日制定頒布)にも、「川除(かわよけ)井手堤溝之儀、農人暇日随先規可修補………………………」とある。
 この地方では苗代(なわしろ)や植付けの時期が、山間・平地・海辺によって多少の違いはあるが、だいたい五月のはじめ頃までに、農家一戸一人あて出役して、自分の地区の水掛かりで、「みぞ掘り」をする。井出(いで)などの補修には全員で役をきめて作業をする。程度によって半日のときも一日のときもある。昔は作業終了後、飯食をともにしたが今は少なくなった。