50 土用行事(どようぎょうじ)

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 土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前十八日間を各々の土用という。語源は五行思想から出ており、土気のことと解釈されている。普通、土用といえば、夏の土用を指す。暑熱の厳しい時期で、一般に肉体的養生の必要がある時とされ、土用灸(きゅう)といって、灸始めや、土用しじみ・土用卵等を食べ、また、その「丑(うし)の日」には、うなぎを食べることも現在盛んに行われている。
 江戸時代、民間学者の平賀源内が着想したこの慣習が、一般大衆にひろまったといわれているが、詳(つまびらか)ではない。水稲作では、無効分けつを抑制するため土用干しと称し、潅がい用水を除水して、水田地面を干す方法が盛んになった。これは米の品質改善と増収に大きく役だっていることも注目に価する。
 土用の第三日を「土用三郎」と呼び、この日の時雨(しぐれ)によって、その年の米作豊凶を占(うらな)う地方もある。土用の虫干(むしぼ)しの慣習等も、昔も今も変わりはないが、梅雨あがりの屋内の清潔等は、やはりこの時期に行ったようである。