十夜のことをお十夜ともいう。浄土宗(じょうどしゅう)の各寺院で、十日十夜の間、法要をすることである。しかし、昔は十日間行われていた法要も、現在では三日三夜、または、一日一夜の法要になってしまった所もある。普通、秋の収穫の終わった、旧暦十月六日より十五日までの十日間のことである。田舎の農家ではこの期間、おはぎ団子を作ってお供えする習慣がある。
その起源をたどれば、無量寿経(むりょうじゅきょう)に「此に於て善を修すること十日十夜なれば、他方諸仏国土に於て善をなすこと千歳するに勝る」とある文によって行う浄土宗特別の法要である。時代は後花園天皇の御代、平貞国が、京都の真如堂(しんにょどう)に詣で、三昼夜の不断念仏を修したとき、夢の中に霊験を感じ、さらに報恩のため七日七夜念仏し、満願の日が十月十五日であったのでこの因縁によるものである。さらに天皇は勅命をもって、十日十夜不断念仏を行ずるように進められ、浄土宗の各寺で行われるようになった。農家では新米がとれて先祖及び檀那寺(だんなじ)にお餅を搗(つ)き、おはぎ団子をお供えするので、俗にお米まつりとも呼ばれている。