秋の米収穫は、農家にとってはその年の総決算であり、まことに目出度い重要なことである。その年の収穫が例年より上出来(じょうでき)で、豊作であればまことに喜ばしい限りのことであり、たとえ例年ほどの収穫でなくとも、こうした実りの秋を迎えられることは、感謝至極のことである。そこで、秋の諸作業も総て終わり、その年内(としうち)、お世話になった神々への、報謝の気持ちをあらわす行事を、農家の人々は古来から行ってきた。それが「秋あげ」というならわしである。秋あげの日には家族一同相集まり、餅を搗(つ)いたり、御馳走(ごちそう)をつくったりして準備をととのえ、米俵を積み上げ、その俵の上に御供え物をのせて御歳神(みとしがみ)をお祭りし、また、神棚へもお供え物を奉り、家族一同に近親者までも集まり、収穫の喜びと、このように立派な実りの秋を迎えることができた、感謝の気持ちで内々の酒宴をはったものである。
これが「あきあげ」といっているが、「あきあがり」から転じた言葉であろうと思われる。