64 冬至の食物(とうじのしょくもつ)

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冬至は二十四節季の一つ、十二月二十二・三日である。太陽はこの時に天球上、最も南に寄り、正午における太陽の高度は、一年中で最も低く、一日のうち夜が最も長い。
 俗に冬至を「三至(さんし)」といっている。一には「陰」の至り、二つには「陽」に始めて至り、三には日行「南」に至るからで、また「至日(しじつ)」ともいう。
 この冬至を祝い、明日からの幸せのためにと、この夜は「南瓜(なんきん)」を食べる習慣がある。これは太陽が最も南に近いということから、その音読の「南瓜(なんきん)」から取ったものと思われるが、南瓜を食べると中風(ちゅうぶ)に罹(かか)らないとか、病気しないとか言い伝えられている。昔は、現在のように、何時でも南瓜があるわけでないので、何処の家でも夏収穫されたものが、家の片隅に置かれていた。また、この日、末尾に「ん」のつく食物を食べると、年中無病息災でおられるとも伝えている。「ん」は文字の終わりで、終わりのものを食べることにより、明日から元気に新しい出発ができるという、意味からと考えられる。食物としては南瓜・大根・人参・蓮根(れんこん)等がある。