67 除夜の鐘(じょやのかね)

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 大晦日(おおみそか)の夜、夜半(正十二時)に、百八煩悩(ぼんのう)を除去する意を寓(ぐう)して、諸方の寺で、百八回鐘が撞(つ)かれる。
 下松においても、市内のあちこちのお寺で撞(つ)かれているが、いまでは、テレビ・ラジオで、全国各地の有名な寺の鐘の音が、聞かれるようになり、おおかたの人びとが、これを聞いて新しい年を迎えている。
 除夜の鐘で撞く百八の数は、人間には、百八の煩悩(ぼんのう)があり、その眠りを覚まさせるためとも、また、百八の菩薩(ぼさつ)の徳をたたえるためだとも、或(あるい)は、一年の十二か月・二十四気・七十二候を合わせた数だから、これで一年のしめくくりになるのだとも、また、寺の鐘には、百八個のイボがあって、それを撞くことで、百八の煩悩解脱(ぼんのうげだつ)・罪業消滅(ざいごうしょうめつ)を祈るのだともいう、いろいろな説がある。要は、一年の終わりに、たくさんの煩わしいものをすっかり払い落として、新しい年を迎えようということであろう。
 除夜に早寝すると、しらがになる、しわがよるといいつたえ、昔は一年の境目は、年神様を迎える神聖な物忌み(ものいみ)の夜であった。
 除夜の鐘は、中国から伝来したものだともいい、またわが国だけのもので、鎌倉時代あたりからだともいわれている。
 何はともあれ、最近では、名鐘の除夜の鐘撞(かねつ)きが公開されることも多く、NHKに紅白歌合戦の後にひきつづいて、新しい年への期待で聞く耳への響きとなっている