いずれ地元の石工の手になったものであろうが、きめ細かな凝灰岩(ぎょうかいがん)に彫られたお姿はまことに優しく、肩から腕にかけての線のやわらかさは全体に親しみ深いものがあり、庶民の苦しみを救ってくださる有難いみ仏である。
昔も今も、耳を患う人が自分の年の数ほどの耳の字を清浄な紙に書いて祈ると功徳があると信じられている。願いが届けられると、穴のあいた「かわらけ」や小石を年の数ほどお礼に供えるのが習慣で、これが堂内にうず高く供えられている。
2 耳の観音様(みみのかんのんさま) (西市正福寺(にしいちしょうふくじ))