「村のはずれのお地蔵さんは、いつもにこにこ見てござる」と、童謡にうたい親しまれているお地蔵さんは、多くの民間信仰の中で、子どもから老人まで、日本中でこれほど親しまれている仏も少ないであろう。道路を歩いていて、どこでも見られるお地蔵さんは、お寺の門前には何体かある。それをよく見れば、それぞれ形が微妙にちがっている。
村はずれの峠の上にあるお地蔵さん、墓地にあるお地蔵さん、大きいものから小さいもの、立像・座像・野ざらしの地蔵など、これら道ばたの地蔵には必ずといっていいぐらい「よだれかけ」が掛けてある。呼び名もいろいろで、地蔵尊・地蔵菩薩・お地蔵さま・お地蔵さん・あせかき地蔵・延命地蔵・首なし地蔵・笠地蔵・おこり地蔵・六地蔵・子そだて地蔵など、これらの地蔵とは一体なにものであろうか。ただ共通なのは、丸坊主で何のかざりもないというくらいではなかろうか。見ていると一体一体、顔の表情や所作がみな違い、なにかしら親しみを感じざるを得ない。
そこで、この道の研究家の文献を借りて調べてみることにする。