7 お地蔵様(じぞうさま) (西市正福寺(にしいちしょうふくじ))

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 室町時代の連歌師(れんかし)宗碩(そうせき)(飯尾宗祇(いいおそうぎ)晩年の弟子)が、中国九州旅行の途上永正三年(一五〇六)正月に、正福寺で詠んだ「秋を手に、まかする田子の早苗哉」の句があるという、古い真言宗のお寺の山門を入ると、鎌倉時代の作という古い薬師様をまつる堂の南側墓地の入口に、このお地蔵様は立っている。
身の丈九四センチ、赤味の花崗岩で右手に錫丈(しゃくじょう)、左手に宝珠を持っておられる。
 毎日、線香や新しい花、お菓子が供えられ、子供をなくした親が冥福を祈るために真新しいよだれ掛けや帽子が供えられている。昔はこれを婚礼の晩、祝言の席にかついで行き、夫婦の一生変らぬ結び合いの祈りをこめたということである。